著者
和田 淑子 安藤 伊代子
出版者
The Japan Society of Home Economics
雑誌
家政学雑誌 (ISSN:04499069)
巻号頁・発行日
vol.24, no.4, pp.273-279, 1973-08-20 (Released:2010-03-09)
参考文献数
6

こんにゃくの調理中におこるかたさ, 弾力など物理的性状の変化について検討した.1) こんにゃくのかたさは製造時の原料配合割合によるが, 精粉に対し水量40倍, Ca (OH) 2量3%のものが概して良好なこんにゃくである.2) 生こんにゃくはゆでるとかたくなり, 同時にこんにゃく独得の弾力に富んでくる.ひとたび加熱凝固して弾力を生じたこんにゃくは, その後ゆで時間とともにかたさが増加し, 一方弾力はやや低下していくが, ある時間以上加熱すると多少の変動はあっても両者ともおおよそ一定値に近づき変化しなくなる.3) ゆでるとこんにゃくの重量は減少するが, この減少はかたさが急激に増加するとき特に大きい.4) ゆでるとこんにゃく中の余分のCaは除去されるが, Caの流出量とかたさには関連性はない.5) こんにゃくのかたさ, 弾力は調味液中で長時間煮熟すると影響を受ける.ことに食塩, 食酢においてその変化が大きく, 食塩液中ではかたくなり, 食酢液中ではやわらかくなる.6) 油いため, 空いりのように比較的短時間に高温で加熱すると, こんにゃくの表面の硬化は著しいが, 内部の弾力はあまり失われない.