著者
松林 正 市川 広美 稲垣 晴代 今枝 正行 水谷 文彦 安藤 光広 鈴木 賀巳 西村 豊
出版者
特定非営利活動法人 日本小児血液・がん学会
雑誌
日本小児血液学会雑誌 (ISSN:09138706)
巻号頁・発行日
vol.5, no.2, pp.172-175, 1991

急性リンパ性白血病を合併した結節性硬化症の1例を報告した.症例は結節性硬化症の9歳の女児で, 発熱と全身倦怠のため近医受診, 血液検査・骨髄検査にて急性リンパ性白血病と診断され当科紹介入院となった.骨髄塗抹標本では芽球が96%を占めていた.芽球は細胞生化学的には, ペルオキシダーゼ染色陰性, PAS染色陽性で, 表面マーカー検索では, CD9, CD10, CDI9, CD20, HLA-DR陽性であった.化学療法を行い, 完全寛解を得た.神経線維腫症では白血病合併例は散見されているが, 同じ神経皮膚症候群である結節性硬化症での白血病合併は非常に稀である.