著者
ハント ゲ-リ-・A 松林 正己
出版者
一般社団法人 情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.47, no.11, pp.584-594, 1997
参考文献数
36
被引用文献数
2

多くの興味深い資源共有ネットワークがアメリカ合衆国では興っている。なかでも最も先進的なネットワークはオハイオリンク・プロジェクトである。本稿ではオハイオリンクの特筆すべき特徴を述べた。このプロジェクトはオハイオ州の単科大学と総合大学54校の図書館が, 2000万冊以上の書誌所蔵オンライン目録に接続し, 直接利用者主導の貸し出し, 拡大しつつある参考調査用フルテキスト・データベース, 電子論文供給, 州規模コンソーシアム・ライセンスによる電子雑誌へのアクセスが含まれている。組織問題 (システム・アーキテクチャー, スタッフ配置, 管理と財務) については, オハイオリンク強化計画にもとずいて, すなわち利用者インターフェース・ソフトウエアの次世代開発と音声, 映像及び数値データをもつデジタル・ファイル調整のためのシステム拡張を含めた議論をした。合衆国内にあるそのほかの州及び地域資源共有の状況に論及した。本稿ではこの分散システムの長所と短所を評価し要約し, これは合衆国内の公高等教育の分散構造を写し出している。州規模ネットワークは特定地域の学生と教員の実際的な需要に対して良質の情報源を提供する効果的な応答である。しかしながら全米情報インフラストラクチャーにおけるいくつかの主要問題には取り組めていない。北米図書館界の海外資料調達の凋落はその最たるものである。
著者
松林 正 市川 広美 稲垣 晴代 今枝 正行 水谷 文彦 安藤 光広 鈴木 賀巳 西村 豊
出版者
特定非営利活動法人 日本小児血液・がん学会
雑誌
日本小児血液学会雑誌 (ISSN:09138706)
巻号頁・発行日
vol.5, no.2, pp.172-175, 1991

急性リンパ性白血病を合併した結節性硬化症の1例を報告した.症例は結節性硬化症の9歳の女児で, 発熱と全身倦怠のため近医受診, 血液検査・骨髄検査にて急性リンパ性白血病と診断され当科紹介入院となった.骨髄塗抹標本では芽球が96%を占めていた.芽球は細胞生化学的には, ペルオキシダーゼ染色陰性, PAS染色陽性で, 表面マーカー検索では, CD9, CD10, CDI9, CD20, HLA-DR陽性であった.化学療法を行い, 完全寛解を得た.神経線維腫症では白血病合併例は散見されているが, 同じ神経皮膚症候群である結節性硬化症での白血病合併は非常に稀である.
著者
牧野 理沙 松林 正 大箸 拓 澁谷 温
出版者
日本小児血液・がん学会
雑誌
日本小児血液・がん学会雑誌 (ISSN:2187011X)
巻号頁・発行日
vol.56, no.2, pp.229-233, 2019

<p>本邦では非常に稀な異常ヘモグロビン症(Hb Sabine, Hb Evans, Hb Hazebrouck)を報告する.Hb Sabine,Hb Hazebrouckは本邦初報告である.症例1は幼児期から重症の溶血性貧血を呈し,無形成発作を繰り返したため,脾臓摘出術を施行した.遺伝子検査でHb Sabine [β91(F7)Leu→Pro, CTG→CCG(β)]と診断した.症例2は新生児期に溶血性黄疸を呈し,その後も軽度の溶血性貧血を認めていた.遺伝子検査でHb Evans [α62(E11)Val→Met, GTG→ATG(α2)]と診断した.その母も溶血性貧血(脾臓摘出術後)の既往あり,子の診断を契機にHb Evansと診断した.症例3は呼吸障害がないにもかかわらず経皮的動脈血酸素飽和度(SpO<sub>2</sub>)低値を呈し,動脈血酸素分圧(PaO<sub>2</sub>)との解離を認めたことから異常ヘモグロビン症を疑った.遺伝子検査でHb Hazebrouck [β38(C4)Thr→Pro, ACC→CCC(β)]と診断した.その父もSpO<sub>2</sub>低値を認め精査したところ,Hb Hazebrouckと診断した.全症例共通して程度はさまざまだが貧血を呈し,SpO<sub>2</sub>低値を認めた.「症例1」と「症例2の母」ではEMA染色と赤血球膜band3抗体で封入体は斑状陽性となり,これらの結合物が膜障害をきたし脾臓摘出後も溶血をきたしているものと考えられた.</p>