著者
朱 道弘 安藤 喜一
出版者
日本応用動物昆虫学会
雑誌
日本応用動物昆虫学会誌 (ISSN:00214914)
巻号頁・発行日
vol.42, no.2, pp.65-69, 1998-05-25
参考文献数
13
被引用文献数
2 11

イナゴ属のハネナガイナゴ,タイワンハネナガイナゴおよびコバネイナゴの単為生殖について調査した.3種共に未受精卵の大部分は発生を開始したが,孵化率はハネナガイナゴ17.8%,タイワンハネナガイナゴ10.4%,コバネイナゴ5.4%であった.孵化幼虫数に対する羽化率はハネナガイナゴ9.7%,タイワンハネナガイナゴ6.3%,コバネイナゴ1.4%であった.単為生殖によって生じた個体はすべて雌のみであった.単為生殖による卵の発生開始率,孵化率,羽化率はハネナガイナゴが一番高く,次いでタイワンハネナガイナゴとなり,コバネイナゴは最も低率であった.単為生殖胚細胞の染色体数を調べた結果,3種すべて24本で倍数性産雌単為生殖を行うことが明らかになった.
著者
久保 敬雄 安藤 喜一
出版者
日本応用動物昆虫学会
雑誌
日本応用動物昆虫学会誌 (ISSN:00214914)
巻号頁・発行日
vol.33, no.4, pp.231-237, 1989-11-25 (Released:2009-02-12)
参考文献数
13
被引用文献数
4 3

広食性昆虫ウリハムシモドキにシロツメクサ,セイヨウタンポポ,エゾノギシギシおよびカモガヤを与えて食物選択実験を行い,次の結果を得た。1) 幼虫・成虫は,ともに放された場所から任意の方向に移動し,食草に対して定位運動は示さなかった。2) ふ化幼虫は食草の種類にかかわらず,最初に到達したものに定着し摂食する傾向が強い。3) 2齢以後は発育が進むにつれて到達した食草が好適でない場合には,他の食草に移動するようになった。4) 3齢幼虫や成虫の食草選好度を食痕から判定すると,セイヨウタンポポ,シロツメクサ,エゾノギシギシの順となり,カモガヤは全く摂食されなかった。5) どの食草でもふ化から羽化まで発育できたが,選好度の高い食草で飼育したときほど,発育が早く,羽化率が高く,成虫の体重が重かった。