著者
中崎 清彦 安達 友彦
出版者
社団法人 環境科学会
雑誌
環境科学会誌 = Environmental science (ISSN:09150048)
巻号頁・発行日
vol.13, no.5, pp.570-578, 2000-12-31
参考文献数
18
被引用文献数
2

多くの産業で排水処理施設から大量の汚泥が排出されている。汚泥を工業原料に変えて他の産業で使用するネットワークの構築はゼロエミッションへの一段階である。本研究では排水処理過程で排出される汚泥から生分解性プラスチックの原料であるL-乳酸の生成を試みた。製紙工場から排出される汚泥はセルロースの含有量が高く,糖化と発酵の組み合わせでL-乳酸の生成が可能であること,また,セルロースの糖化にともなって生成するグルコースによる酵素反応阻害の低減には同時糖化発酵法の適用が有効であり,温度40℃,pH5.0の最適条件下で9.779/Lの高濃度L-乳酸が生成できることを明らかにした。