著者
福田 健治 湧田 尚樹 武村 有祐 八尋 龍巳 山本 聡 本永 英治 安達 忍 井上 亨
出版者
特定非営利活動法人 日本脳神経血管内治療学会
雑誌
脳血管内治療 (ISSN:24239119)
巻号頁・発行日
vol.5, no.2, pp.80-85, 2020

<p>【目的】宮古島は人口約54600 人であり,那覇から約300 km 南西に位置する.石垣島などを含めた先島諸島では,沖縄本島へのヘリ搬送は人的,時間的負担が大きいことから,緊急症例も含めたほとんどの疾患に対して地域完結型医療が求められている.宮古島における脳血管内治療医着任前後における治療数の変化および先島諸島における脳血管内治療普及の取り組みを報告する.【方法】着任前を前期:2013 年9 月から2016 年3 月,着任後を後期:2016 年4 月から2018 年9 月とし,後方視的に調査した.【結果】全脳神経外科手術における脳血管内治療は,前期5.9%(11/188 例)から後期13.6%(24/176 例)に有意に増加した(p=0.01).脳動脈瘤や頚動脈狭窄症において,直達手術の難易度が高くなる症例を中心に血管内治療を選択したことが症例数の増加の主要因であった.急性期主幹動脈閉塞に対する再開通療法において,後期群では来院から穿刺(中央値137 分 vs 217 分,p=0.01)および穿刺から再開通(中央値67 分 vs 112分,p=0.01)までの時間が改善した.石垣島にある県立八重山病院とも連携し,3 例の破裂脳動脈瘤の治療が行われた.【結論】先島諸島における脳血管内治療の必要性は高く,今後も安定した脳血管内治療医の定着およびさらなる発展が重要である.</p>
著者
佐口 隆之 細野 篤 蠣崎 昭太 田部井 勇助 安達 忍 伊地 俊介 鈴木 一郎
出版者
特定非営利活動法人 日本脳神経血管内治療学会
雑誌
Journal of Neuroendovascular Therapy (ISSN:18824072)
巻号頁・発行日
vol.9, no.5, pp.284-288, 2015 (Released:2015-11-30)
参考文献数
9
被引用文献数
2

要旨: 【目的】破裂脳動脈瘤コイル塞栓術後にdelayed distal coil migration を生じた1 例を報告する.【症例】68 歳男性.突然の意識障害を発症し当院へ救急搬送された.CT 及びDSA で前交通動脈瘤破裂によるクモ膜下出血と診断しコイル塞栓術を施行した.第16 病日に心筋梗塞を合併し治療を要した.第38 病日に施行した画像診断で前大脳動脈遠位部血管へのdelayed distal coil migration と診断されたが,無症候性のため保存的に経過観察した.【結論】脳動脈瘤塞栓術後にdelayed distal coil migration を生じたがX 線検査が診断に有用であった.