著者
園田 純子 江藤 優穂 定岡 愛子 武鑓 美和 西村 弥恵
出版者
日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会大会研究発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.25, 2013

【目的】日本の食文化として受け継がれてきた食品の保存法である「乾物」に関し、若い世代の利用実態を把握するとともに、日常の食事に取り入れられるよう家庭料理への普及啓発の方法を検討した。<br>【方法】本学1~4年の学生734名を対象として、平成24年6~7月に乾物に関する意識や利用状況の調査を行った (回収率78.9%)。次にこの乾物利用の調査をふまえ、食品乾燥機(木原製作所SM4S-EH型・SP-1型)を用いて身近な農産物の乾物を作成し、家庭で簡単に作れるレシピを考案した。さらに、考案した干し野菜レシピを活用できるよう、乾物の普及啓発活動の取り組みを行った。<br>【結果及び考察】本学の学生で乾物を料理に利用している者は全体の45%で、乾物利用者のうち乾物を作成したことのある者は8%にすぎなかった。食べきれない生鮮食品の活用法としては冷凍保存が54%と最も多く、乾燥させるとの回答はわずか1%であった。家庭で残りがちな生鮮食品はキャベツが最も多く、人参、じゃがいも、玉ねぎと続いた。これら家庭で残りがちな野菜を用いた干し野菜の作成を試み、作成した干し野菜9種類を用いて「ミネストローネ」や「キャベツハンバーグ」など乾物独自の凝縮した味や食感といった干し野菜の特徴を活かせる料理を計18品考案した。作成したレシピは本学学生を対象とした料理教室で活用し、参加者の乾物に関する知識を深め、今後の乾物利用促進を図った。今回、従来乾物としての使用は少ないものの、日常的によく購入される生鮮食品を用いて干し野菜を作成したことで、若い世代にも乾物を身近に感じてもらえたと推察される。