著者
宜保 清一 陳 信雄 江頭 和彦 林 義隆 周 亜明
出版者
The Japan Landslide Society
雑誌
地すべり (ISSN:02852926)
巻号頁・発行日
vol.34, no.2, pp.50-56_1, 1997-09-15 (Released:2011-02-25)
参考文献数
19
被引用文献数
3 2

本報告は四国の中央構造線に沿った道路建設に伴い発生した地すべり地の特性について検討を行ったものである。その結果, 地すべりは大半が切土に伴う崩積土のすべりであり, 規模は比較的小規模なものが多く, また, 中央構造線の断層破砕帯の地すべり地の粘性土のせん断抵抗角は小さく, 難工事となりやすいことがわかった。
著者
宜保 清一
出版者
琉球大学
雑誌
琉球大学農学部学術報告 (ISSN:03704246)
巻号頁・発行日
vol.26, pp.183-272, 1979-12-11
被引用文献数
3

残留強度を求めるには, セン断破壊を生じた後の大変位に対するセン断抵抗を測定できる試験が必要とされる。この範ちゅうに入る試験方法や装置がSkemptonやBishop等によって提唱されているが, 結果の解釈や装置になお多くの問題がある。それゆえ, 著者は今までの研究を基礎にして次の二つの手法を考えた。(1)完全に形成されたすべり面に沿ってセン断移動がおこるのであれば, 平衡状態のもとで発揮される応力はヒズミの大きさにかかわらずある一定値を示すはずである。この条件を満足する試験方法として, 予想セン断角で切り離された上下供試体と, 上部供試体の側方移動を可能にする圧縮セン断機構(BBピストン, 3-2-1参照)を用いて三軸圧縮試験を行ない, その破壊面における応力解析から残留強度を求める。(2)過圧密粘土では, 応力履歴によってτ&acd;ε曲線が種々変化し, 特にピークの位置とその後の曲線の形状が残留強度の大きさを左右していることに着眼して, τ&acd;ε曲線を式化し, その利用を試みる。なお, (2)においてはτ&acd;ε曲線が重要となってくるので, 過圧密比が変化する場合τ&acd;ε曲線が如何なる特性を示すかについて実験研究を行うと同時にτ&acd;σ特性についても考察を加えた。また沖縄における農地保全上, 重要な課題となる第三紀の島尻層泥岩(過圧密粘土)斜面の安定問題には未解明な点が多いため, 安定解析に進行性破壊や完全軟化の概念の導入を考え, Skempton法を用いて軟化泥岩の残留強度を求めた。そして実際の地すべり事例の安定解析に適用して, 地すべり機構解明の一助にした。まず, 一般的なSkemptonの試験法を用いて島尻層軟化泥岩の残留強度定数を求めた(2-2)。島尻層泥岩でみられる破壊面には鏡肌が形成されており, 残留強度に達していることがうかがえる。しかし泥岩について鏡肌が認められるほどの変位を与えるセン断試験はいままで行なわれておらず, 残留強度に関する知見は皆無である。したがって, すべり面付近の新鮮軟化泥岩と完全軟化粘土, 自然分離面, および作成分離面についてSkempton法による長期繰返しセン断試験を行ない, 残留強度やブリトル指数を求めた。新鮮軟化泥岩のピーク強度定数はC_<df>=1.20&acd;1.55kg/cm^2,φ_<df>=19&acd;22°, 同一の事前セン断面における残留強度定数はC_dr=0,φ_<dr>=17&acd;19°の範囲にある。さらにセン断破壊面が十分発達した自然分離面ではC_<dr>=0,φ_<dr>=17°, 作成分離面ではC_<dr>=0,φ_<dr>=15°となる。完全軟化粘土の場合, C_<Nf>=C_<Nr>=0は言うまでもないが, φ_<Nf>=23°, φ_<Nr>=19°は新鮮軟化泥岩や分離面のφ_<dr>よりも大きい。軟化泥岩のブリトル指数(I_B)は, σ'_n=1&acd;5kg/cm^2の応力範囲でI_B=80&acd;50%となる。またφ'_r&acd;粘土分の関係から島尻層泥岩はOxford Clay, Jari Jakfield, London Clayの過圧密粘土と類似していることが明らかになった。つづいて, τ&acd;ε特性を用いて残留強度を求める著者の手法について述べた(2-3)。すなわち, 長期セン断試験結果を式化し, その最大値および最終値を, それぞれピーク強度, 残留強度とみなすものである。これには排水条件を満足する緩速なセン断強度が要求される。しかし, 急速セン断結果(非排水)から残留強度を推定する場合はτ&acd;ε曲線の最大値と最終値を時間効果で補正し求めることができる(2-3-3)これらの結果をSkempton法による試験と対比させた。すなわちτ&acd;ε曲線を利用する手法は, Skempton法よりσ=0.1&acd;0.7kg/cm^2の範囲において1&acd;17%程度大きめの残留強度が与えられるが, 作成分離面により求める場合と同様, 短時間に残留強度をえようとする場合有効な方法といえよう。一面セン断試験によるSkempton法に対し, 著者は三軸圧縮試験による残留強度決定法を提案した(3)。その試験における圧縮機構は, 圧縮時に上部供試体が作成セン断面に沿って滑動できるようにBBピストンを通じて負荷するものであり, 残留強度を計算するための式は破壊面の応力解析によって導びいた。すなわち[numerical formula](3-2-18)式のτ^^^-(η)は, BBピストンのもとで上下供試体が相対的なすべり変位を起こすときに軸圧が偏心荷重として作用することによって実際にすべり面に生じるセン断応力(3-2-12)平均値で与えられ, 有効セン断面積(3-2-21)とゴムスリーブの拘束による軸差応力の増分(3-2-31)が考慮されている。そして完全に形成されたすべり面, すなわち作成セン断面に沿うセン断移動において, 定常状態に入った後に発揮される応力はヒズミの大きさにかかわらず一定値を示すので, τ^^^-(η)&acd;ε関係においてdτ^^^-(η)/dε=0になったときのτ^^^-(η)値を残留強度τ_rと考えればよい。この手法を鳥栖試料に適用した結果, C'_f=0.569kg/cm^2,φ'_f=23°50