著者
室井 努
出版者
弘前学院大学文学部
雑誌
紀要 (ISSN:13479709)
巻号頁・発行日
no.50, pp.37-51, 2014-03

日本語学会の大会シンポジウム(ワークショップ)における小松英雄氏の発言をきっかけとして、氏の主張する書記における読み手の存在の考えをどのように定位するかを試みる。具体的には、同様の構造で論争が起きた岩波新『漱石全集』本文問題と、時枝誠記のソシュール批判の顛末、および時枝氏の主張する言語過程説においての「書く」「読む」といった文字と音声との関係の精読の二つを通じて、読み手の立場を考慮に入れた書記資料の扱いを説く小松氏の、日本語学史上の位置づけを考える。
著者
室井 努
出版者
弘前学院大学文学部
雑誌
紀要 (ISSN:13479709)
巻号頁・発行日
no.50, pp.37-51, 2014-03-25

日本語学会の大会シンポジウム(ワークショップ)における小松英雄氏の発言をきっかけとして、氏の主張する書記における読み手の存在の考えをどのように定位するかを試みる。具体的には、同様の構造で論争が起きた岩波新『漱石全集』本文問題と、時枝誠記のソシュール批判の顛末、および時枝氏の主張する言語過程説においての「書く」「読む」といった文字と音声との関係の精読の二つを通じて、読み手の立場を考慮に入れた書記資料の扱いを説く小松氏の、日本語学史上の位置づけを考える。
著者
室井 努
出版者
日本語学会
雑誌
日本語の研究 (ISSN:13495119)
巻号頁・発行日
vol.2, no.1, pp.64-77, 2006-01

本稿は,古代語における数詞表現のあり方をみるために,その手がかりとして,『今昔物語集』において頻出する人数表現を中心とする数詞表現を,現代語の数量詞研究の成果を踏まえつつ,検討を加えたものである。まず,今昔全体の表現の偏りから,基調とする文体差によって名詞句に対する数量詞の前置・後置に差が見られることを確認する。その上で,それらの間には定・不定などの用法差がうかがえること,それらは現代語ではいわゆる数量詞遊離構文が果たしている機能が数量詞転移表現によってなされるなど,現代語とは異なった様相を見せていることなどを明らかにした。また,新たな展開を見せる表現として和文脈を中心に,いわゆる数量詞遊離構文が(平安仮名文において有力であったわけでもないのにも拘らず),その勢力を拡大しようとしているようすが認められた。
著者
室井 努
出版者
東北大学
雑誌
東北大学文学部日本語学科論集 (ISSN:09174036)
巻号頁・発行日
vol.4, pp.87-98, 1994-09-30

幕末・明治期の河竹黙阿弥の歌舞伎脚本の言語の性格をみるために、「〜ます」の音便等による語形変化を調査した。全般的には旧語形を用いており、南北以来の類型を踏襲しているが、明治期の作品には「なさいます」「下さいます」の使用階層が登場し、その一方で「ございます」の登場が遅れるなど、他の後期江戸語資料でみられるような、各々の変化の時間差を反映した事象も確認できる。