- 著者
-
宮下 和喜
- 出版者
- Arachnological Society of Japan
- 雑誌
- Acta Arachnologica (ISSN:00015202)
- 巻号頁・発行日
- vol.41, no.2, pp.177-186, 1992 (Released:2007-03-29)
- 参考文献数
- 13
- 被引用文献数
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母グモの網より分散する少し前の幼生 (若虫) を半自然条件下で個体飼育したところ, 雄は8~9回脱皮をし, 生まれてから3年目の春に成体になった. 雌では, 9~11回脱皮をして3年目の春と秋および4年目の春に成体になるものが生じた. 飼育開始から3年目の春までの巣網の直径の成長を調べたところ, 雄では2.3mmより13.3mmに, 雌では2.3mmより13.7mmに成長した. 雌の網の直径はこの後も成長をつづけ, 5年目には15.9mmに達した. また, 雌は成体になってからも毎年春に1回脱皮を繰り返した. 幼生と成体の1週間当りの排泄回数を1年間にわたって調べたところ, 排泄回数は夏に増加し冬には減少したが, 排泄が完全に停止してしまう訳ではなかった. これらの調査結果と, これらに平行して行なった野外調査の結果とを合わせ, このクモの生活環を考察した.