著者
宮下 雅恵
出版者
日本文学協会
雑誌
日本文学 (ISSN:03869903)
巻号頁・発行日
vol.50, no.5, pp.54-63, 2001-05-10 (Released:2017-08-01)

<身体>の<病>の向こう側にある言葉にできない心の動きは、解釈可能なものとして「病」や「物の気」あるいは「妊娠・出産」としてしばしば一元的に解釈される。このとき何が隠蔽され、どのような解釈がさらに固定化されていくのか。この問いを起点とし、<病>と<孕み>をめぐる思考の鋳型と「二重の疎外」の機制について、『夜の寝覚』第三部の分析を通して考察する。