著者
簡 梅芳 小畑 和貴 黄 毅 宮内 啓介 遠藤 銀朗
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集G(環境) (ISSN:21856648)
巻号頁・発行日
vol.69, no.7, pp.III_9-III_15, 2013 (Released:2014-03-03)
参考文献数
15

モエジマシダ(Pteris vittata)等のヒ素高蓄積植物はヒ素土壌汚染の浄化に適用可能と考えられている.本研究では, モエジマシダを用いたヒ素のファイトエクストラクション法による浄化技術に着目し, それによるヒ素吸収における微生物の関与の度合いを明らかにすることを目的として行った. 微生物植種の添加に伴うシダの栽培実験と土壌ヒ素の酸化試験を行い, ヒ素の土壌からシダへの移行特徴および形態変化を解析した. その結果, 土壌中の亜ヒ酸はヒ酸に酸化されたのち, その多くはシダにより吸収されることと, このヒ素酸化は微生物による作用であることが強く示された. さらに, シダ根圏試料に対して亜ヒ酸酸化酵素遺伝子aroAをターゲットとしたT-RFLP解析より, シダによるヒ素吸収に先立つヒ素形態の変化には, 土壌中のaroAを有する微生物が関与していると示唆された.