著者
志久 修 中村 彰 黒田 英夫 宮原 末治
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.41, no.4, pp.1086-1095, 2000-04-15
参考文献数
17
被引用文献数
2

本論文では,手書きされた日本語単語の認識方法について述べる.提案方法では,単語からの個別文字の切出しと認識を行わずに,単語全体を1つのパターンと見なして認識を行う.手書き日本語単語には,文字単体の手書き変形のほかに,文字間隔や文字サイズの変動,単語長さ方向への文字の伸縮が生じており,一般的な個別文字認識方法を単語画像にそのまま適用しても,高い認識性能を得ることは困難であると考えられる.そこで,提案方法では,上記の単語変形に対し,3段階の正規化処理〔図形間隔,図形幅,および単語画像サイズ(非線形正規化)〕と単語長さ方向へのDPマッチングを採用することにより対処している.郵政研究所の手書き漢字画像データベースIPTP CD-ROM2から作成した2種類の単語画像セット(町域部:1655件,都道府県名:174件)を用いて,提案方法と基本的な従来方法(個別文字に注目する方法)との正読率の比較実験を行った.その結果,これらの画像セットに対しては,従来方法において良好な条件(文字切出し正解率100%)での正読率と同等の結果〔正読率:96.50%(町域部)?<,95.98%(都道府県名)〕が得られ,提案方法の有効性を明らかにした.This paper describes a method for handwritten Japanese words recognitionbased on holistic strategy which treadts a word as a whole unitwithout segmenting it into individual characters.Our method, to compensated for word shape distortions,adopts three processes of normalization (i.e.\ figure gap normalization,figure width normalization and word size normalization) and DP matching.We tested the proposed method for 1,655 (town name) and 174 (prefecture name)images in the IPTP CD-ROM2 (the database of handwitten KANJI character images).As a result, 96.50% of 1,655 town names and 95.98% of174 prefecture names were correctly recognized.