著者
宮城 利佳子
出版者
一般社団法人 日本理科教育学会
雑誌
理科教育学研究 (ISSN:13452614)
巻号頁・発行日
vol.63, no.3, pp.645-656, 2023-03-31 (Released:2023-03-31)
参考文献数
16

本研究では,植物栽培に関する保育者と子どものやり取りを6ヶ月観察し,子どもが他者との関わりの中で,植物に親しみ,植物に関する知識を学習する中で,擬人化がどのように機能しているかを明らかにすることを目的とした。その結果,年長児と保育者の使用する擬人化の機能は4つあり,①植物に対して,感情移入的な親しみや思いやりを持つ事を促す機能,②人間についての知識を類推する事を促す機能,③他の植物の知識を類推する事を促す機能,④植物の状態を説明する機能がある事が明らかになった。このような擬人化を用いたやり取りの中で,子どもは,栽培対象の植物に親しみ,栽培方法を類推する事を学習すると考えられる。また,保育者の信念や経験による影響で,保育者により擬人化の使用する機能が異なる可能性がある。