著者
宮島 直子
出版者
日本精神保健看護学会
雑誌
日本精神保健看護学会誌 (ISSN:09180621)
巻号頁・発行日
vol.19, no.1, pp.116-127, 2010-06-30 (Released:2017-07-01)
参考文献数
25

本研究の目的は,統合失調症患者の手記から,発症前エピソードを生活の視点で抽出し,その概要を記述することである.手記を研究対象とすることは,研究に関わるプライバシーの問題を解決するとともに当事者に詳細に尋ねることによる過重なストレスを与えない方法として,有効と考えた.研究の手順および分析方法は,まず手記から発症前生活エピソードが記述されている文章をすべて抜き出し,一文を一データとした.次にデータは,意味内容から抽象度を上げコード化し,それぞれのコードは類似性を基にカテゴリー化した.そして得られたカテゴリーの関連性を検討し,カテゴリーについての説明可能な軸を抽出した.結果として,9冊の手記から3,401のデータを得た.データから138の二次コードを抽出し,それらは13のカテゴリーに分類できた.そして,それらのカテゴリーは6つの軸で説明することができた.軸は,【対人関係をめぐる苦痛】【認識の歪み】【的外れな対処】【状況把握の困難】【日常生活上の障壁】【仮面の生活】であった.【状況把握の困難】は,人間の言動の根幹に影響を与え,他のすべての軸に関連する中核的存在とみなすことができた.それぞれの軸について,過去の文献と比較検討し,その妥当性を確認した.
著者
辻村 祐香 西村 さなえ 飯島 彩花 小林 礼奈 宮島 直子
出版者
看護総合科学研究会
雑誌
看護総合科学研究会誌 (ISSN:1344381X)
巻号頁・発行日
vol.19, no.2, pp.3-9, 2020-03-31

本研究の目的は,サージカルマスクの着用の有無による笑顔度の相違を異なる笑顔度において調査することであった。対象者はA大学の日本人看護学生75名であった。対象者は,同一人物の10種類の顔写真を見て,笑顔度を0%(笑顔なし)から100%(満面の笑み)で判定した。提示された10種類の写真は,笑顔測定器で0%,25%,50%,75%,100%と評価された顔写真,およびそれらをサージカルマスクと合成した顔写真であった。顔写真は,アトランダムに1枚につき10秒間提示した。結果として,笑顔度100%の顔写真を除きサージカルマスクの着用の有無で有意差を認めた。笑顔度が25%,50%,75%の場合,サージカルマスクの着用により,10~20%程度低い笑顔度で受け取られることが確認された。調査結果からサージカルマスク着用時に笑顔による肯定的フィードバックをする場合には,笑顔度を高めるか,他のコミュニケーション・チャンネルで補う必要が示唆された。
著者
宮島 直子
出版者
日本精神保健看護学会
雑誌
日本精神保健看護学会誌 (ISSN:09180621)
巻号頁・発行日
vol.19, no.1, pp.116-127, 2010-06-30

本研究の目的は,統合失調症患者の手記から,発症前エピソードを生活の視点で抽出し,その概要を記述することである.手記を研究対象とすることは,研究に関わるプライバシーの問題を解決するとともに当事者に詳細に尋ねることによる過重なストレスを与えない方法として,有効と考えた.研究の手順および分析方法は,まず手記から発症前生活エピソードが記述されている文章をすべて抜き出し,一文を一データとした.次にデータは,意味内容から抽象度を上げコード化し,それぞれのコードは類似性を基にカテゴリー化した.そして得られたカテゴリーの関連性を検討し,カテゴリーについての説明可能な軸を抽出した.結果として,9冊の手記から3,401のデータを得た.データから138の二次コードを抽出し,それらは13のカテゴリーに分類できた.そして,それらのカテゴリーは6つの軸で説明することができた.軸は,【対人関係をめぐる苦痛】【認識の歪み】【的外れな対処】【状況把握の困難】【日常生活上の障壁】【仮面の生活】であった.【状況把握の困難】は,人間の言動の根幹に影響を与え,他のすべての軸に関連する中核的存在とみなすことができた.それぞれの軸について,過去の文献と比較検討し,その妥当性を確認した.