著者
小林 礼奈
出版者
公立大学法人 国際教養大学専門職大学院グローバル・コミュニケーション実践研究科日本語教育実践領域
雑誌
国際教養大学専門職大学院グローバル・コミュニケーション実践研究科日本語教育実践領域実習報告論文集 (ISSN:21853983)
巻号頁・発行日
vol.5, pp.33-69, 2014

本稿では,筆者の在籍する大学院修士課程の2 年次に行われた3 学期にわたる日本語教育実習(秋実習・冬実習・春実習)を通して筆者が行ったアクション・リサーチについて報告する。筆者は,秋実習及び冬実習を振り返り,「学習者の発話量」や「フィードバック」に関する問題点について考察を行う過程で,学習者の口頭表現能力の向上にそれらの要素がどのように貢献しているのかという根本的な疑問を抱き始めた。そのような考えから口頭表現能力を重視した教授法に関する先行研究を調べた結果,学習者の言語的挫折を誘発し,そこに適切な表現を導入する「タスク先行型ロールプレイ」が口頭表現能力を伸ばすために有効な手段であるのではないかと考えた。よって,その実施を春実習の課題とし,春実習では「学習者のレベル把握」「ロールプレイのタスク設定」「フィードバック」を意識したタスク先行型ロールプレイを行った。実施の結果,言語的挫折の誘発やフィードバックが適切に行われた例も見られ,学習者の口頭表現能力にもポジティブな変化が見られた。しかし,考察の結果,今回実施したタスク活動に関する問題点がいくつか挙げられたため,その問題点に対する改善案の提示を行い,今後の課題とした。
著者
辻村 祐香 西村 さなえ 飯島 彩花 小林 礼奈 宮島 直子
出版者
看護総合科学研究会
雑誌
看護総合科学研究会誌 (ISSN:1344381X)
巻号頁・発行日
vol.19, no.2, pp.3-9, 2020-03-31

本研究の目的は,サージカルマスクの着用の有無による笑顔度の相違を異なる笑顔度において調査することであった。対象者はA大学の日本人看護学生75名であった。対象者は,同一人物の10種類の顔写真を見て,笑顔度を0%(笑顔なし)から100%(満面の笑み)で判定した。提示された10種類の写真は,笑顔測定器で0%,25%,50%,75%,100%と評価された顔写真,およびそれらをサージカルマスクと合成した顔写真であった。顔写真は,アトランダムに1枚につき10秒間提示した。結果として,笑顔度100%の顔写真を除きサージカルマスクの着用の有無で有意差を認めた。笑顔度が25%,50%,75%の場合,サージカルマスクの着用により,10~20%程度低い笑顔度で受け取られることが確認された。調査結果からサージカルマスク着用時に笑顔による肯定的フィードバックをする場合には,笑顔度を高めるか,他のコミュニケーション・チャンネルで補う必要が示唆された。