著者
宮島 良明
出版者
東京大学
雑誌
社會科學研究 (ISSN:03873307)
巻号頁・発行日
vol.59, no.3, pp.147-163, 2008-03

かつて,日本選手権7連覇の栄光に輝いた新日鐵釜石ラグビー部は,2001年4月,地域密着型をめざしたグラブチーム「釜石シーウェイブスRFC」として生まれ変わった.クラブ運営上の課題を抱えつつも,「行政」「地元企業」「市民」によるサポートの小さな「芽」は萌え,その環が少しずつ広がりつつある.釜石にとって,今も昔も「ラグビー」は地域の「希望」であることに違いはないようだ.「新日鐵釜石」時代には,ある種の「あこがれ」や「誇り」が「希望」の源泉であったが,クラブ化後も,釜石シーウェイブスRFCが,より現実的な「実感」に基づいた「希望」を地域にもたらすようになったからである.