著者
宮崎 多恵子
出版者
日本水産學會
巻号頁・発行日
vol.59, no.3, pp.437-440, 1993 (Released:2011-03-05)
著者
宗宮 弘明 宮崎 多恵子 後藤 麻木
出版者
名古屋大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2002

魚類、両生類(サンショウウオ)、爬虫類(ヤモリ、カメレオン)、鳥類(カナリヤ)さらには哺乳類の一部(ラット、マウス)も紫外線視覚(UV Vision)を持ち、摂餌、配偶者選択、コミュニケーション等に利用する(Yokoyama 2000)。初年度(H14)にショウワギスとボウズハゲギスの網膜を調べ、それらが紫外線視覚に関与するUV CONEを多数網膜底部に持つことを明らかにした(Miyazaki et al. 2002)。また、タペータムを持つカイワリ(アジ類)は紫外線視覚に関与するUV CONEを持たないことがわかった(Takei & Somiya 2002)。次年度(H15)にはテッポウウオが空中を見るにもかかわらず紫外線視覚に関与するUV CONEを持たないことがわかった。最終年度(H16)にはヨツメウオの視覚特性を探求し、それらが紫外線視覚を持つことがわかった。また、ヨツメウオの網膜特性の研究の結果、従来いわれていたように、ヨツメウオは腹側網膜で空中視を行い、背側網膜で水中視せずに水平Visual streakで空中視も水中視も受容していることを証明できた。しかし、ヨツメウオ紫外線視覚の機能については解明することが出来なかった。当初、研究の方針は、網膜の博物学的組織学と分子生物学の二本建てで進める予定であったが、分子生物学学的研究が思うようにはかどらず現在も継続中である。しかし、現時点で、今回の研究結果をまとめると次のようになる。魚類の祖先がすでに紫外線視覚を持っていたことは良く知られている。一般に紫外線の無い環境に生息する魚類、たとえば、シーラカンスは紫外線視覚を持たない(Yokoyama et al. 1999)。紫外線の多い環境にすむ魚種でもテッポウウオのように紫外線視覚を利用しない魚種もいる。おそらくそれは、紫外線が網膜に悪影響を与えることに関係しているかも知れない。