著者
宮川 法子 服部 雅史
出版者
日本認知心理学会
雑誌
日本認知心理学会発表論文集 日本認知心理学会第14回大会
巻号頁・発行日
pp.23, 2016 (Released:2016-10-17)

本研究では,流暢性 (刺激に対する情報処理の速さや容易さの主観的な感覚) の記憶に与える影響に個人特性であるワーキングメモリ容量や認知欲求が調整変数として働くか否かについて,文字の見えづらさを操作し検討した。記憶課題には40語の単語記憶課題,ワーキングメモリ測定課題にはリーディングスパンテスト(以下,RST)と演算スパンテスト (以下OST) を用いた。40単語の記憶課題の後にRSTとOSTを行った。各記憶課題の間には1分間の休憩を挟み,RSTとOSTは参加者間でランダムな順で行った。最後に認知欲求を測る質問紙を行い,単語記憶課題での文字の読みやすさについて5件法で回答してもらった。本実験の結果からOST得点の低い人が流暢性の影響を受けやすいことが示唆された。更にOST得点によって,読みやすさ,つまりは流暢性の感じ方に違いは見られなかった。よって流暢性そのものは入力段階において差はないことも示唆された。