著者
小川 久恵 宮本 千佳子 松本 仲子
出版者
一般社団法人日本調理科学会
雑誌
調理科学 (ISSN:09105360)
巻号頁・発行日
vol.20, no.3, pp.229-235, 1987-11-20
被引用文献数
1

家庭において白ソースをより手軽に調製できるよう、従来のルーをかく方法、粉とバターを練り合わせて加える方法に加えて、全材料を混合して加熱するミックスの方法および電子レンジを利用する方法の4手法について、煮込み時間を5、10、20、30、60分間としたものを試料として、各面から比較し、合理的な調製方法について検討した。また煮込み時間がソースの風味に及ぼす影響についても検討した。1. 官能検査の結果を分散分析した結果は、4手法間には有意差が認められず、煮込み時間間に1%危険率で有意な差が認められた。2. 煮込み時間は、各手法ともに20〜30分間がよく、煮込み時間がそれ以下あるいはそれ以上のものでは評価が低かった。3. 煮込み時間30分間位までは、各手法間に有意差はないが、あらかじめ炒め操作を行うルーをかく方法が他の手法に比べて高い評価を得たが、煮込みに先だち、加熱しない他の手法では、30分間位煮込むことで粉っぽさが消失し、炒め操作をしない欠点を補うことが出来るものと考えられた。4. 煮込み時間がソースの風味に及ぼす影響については、濃縮により味が向上する反面、着色、粘性の増加により、長時間に煮込みは望ましくないことがわかった。5. 煮こみ時間を5分位にとどめた時、ソースをそのまま味わう料理に用いた場合はルーの手法によるものが高い評価を得たが、グラタンのように他の味が加味されるような場合には、手法による差はみられなかった。6. 調理時間および手間の面から検討した結果はミックスの手法が手間を要せず時間も最も短時間であった。7. 風味・調理時間・手間等の各面から総合的に検討した結果、ミックスによる手法が合理的な方法と考えられた。