著者
丹 秀也 関根 康人 渋谷 岳造 宮本 千尋 高橋 嘉夫
出版者
一般社団法人日本地球化学会
雑誌
日本地球化学会年会要旨集
巻号頁・発行日
vol.64, 2017

<p>木星の衛星エウロパは、表面を氷地殻に覆われており、内部には内部海を持つことで知られる。近年の望遠鏡観測により、木星の衛星イオ由来の硫酸がエウロパの公転後面を汚染している一方、汚染の少ない公転前面にはナトリウム塩などの内部海由来の物質が存在していることが示された(Ligier et al., 2016)。これは内部海での化学反応により硫酸が消費されている可能性を示すが、その反応や温度・pH 条件はよくわかっていない。本研究は、エウロパ内部での熱水環境における硫酸還元反応が消費過程として働く可能性を室内実験で検証し、温度やpH条件を制約することを目的とする。エウロパ海底条件1300気圧下で溶液のオンライン採取が可能なオートクレーブ装置により硫酸還元反応の速度のpH依存性を調べた。また、硫酸還元の反応率はpHが小さいほど速くなることから、エウロパ内部海では熱水環境が硫酸濃度とpHを安定化させる、負のフィードバック作用が働く可能性がある。</p>