著者
宮本 純輔 西山 友貴 神田 大輔
出版者
日本臨床麻酔学会
雑誌
日本臨床麻酔学会誌 (ISSN:02854945)
巻号頁・発行日
vol.33, no.3, pp.428-431, 2013 (Released:2013-07-13)
参考文献数
8

腸骨筋膿瘍は敗血症などを合併する危険性があり早期診断が重要である.今回,膿瘍と反対側半身の激痛により診断に難渋した症例を経験した.症例は67歳女性,関節リウマチを有する.発熱と一時的な右臀部痛で発症,項部硬直と左半身激痛で来院した.白血球数20,600/μl,CRP 30.6mg/dlと炎症反応高値を認めたが,尿,髄液,胸部X線,胸腹部骨盤CTで異常所見を認めなかった.入院後1週間,症状の改善を認めず,再度胸腹部骨盤CT検査を行ったところ,右腸骨筋内の陰影を認めた.手術困難部位であったため,抗生剤治療を継続し膿瘍は消失,症状の改善を認めた.本症例は関節リウマチの非定型的症状と考えられる膿瘍と反対側の激しい痛みが出現したため診断に難渋した.