著者
藤井 公一 宮武 諭 石山 正也 大木 基通 冨岡 秀人 加瀬 建一 小林 健二
出版者
一般社団法人 日本臨床救急医学会
雑誌
日本臨床救急医学会雑誌 (ISSN:13450581)
巻号頁・発行日
vol.17, no.3, pp.478-480, 2014-06-30 (Released:2015-01-23)
参考文献数
10

2011年1月から2013年1月の2年間に,肺塞栓症と診断され失神を伴った5例について,その特徴を診療録より後方視的に検討した。平均年齢73.6歳。2例は随伴症状を認めなかった。来院時のvital signsは,収縮期血圧低値1例,頻脈2例,SpO2低値1例であった。D-dimer 値は全例で上昇していた。心電図異常4例,心エコー検査による右心負荷所見は全例で認めた。治療は全例で抗凝固療法が施行され,うち1例に血栓溶解療法が施行された。失神を伴わなかった肺塞栓症患者12例との比較では,平均年齢が高く(p=0.045),右心負荷所見を認める割合が高かった(p=0.049)。心エコー検査とCTを施行するまでの時間は,失神を伴っていた患者で長くなる傾向がみられた。失神を伴う肺塞栓症患者は典型的症状に乏しく,心エコー検査やD-dimer測定は失神患者の原因検索としても有用である。
著者
藤井 公一 宮武 諭 石山 正也 大木 基通 冨岡 秀人 加瀬 建一 小林 健二
出版者
一般社団法人 日本救急医学会
雑誌
日本救急医学会雑誌 (ISSN:0915924X)
巻号頁・発行日
vol.25, no.10, pp.792-796, 2014-10-15 (Released:2015-03-12)
参考文献数
10

症例は70歳の男性。自宅で突然の胸背部痛を訴えた後,当院に救急搬送された。来院時,意識JCS 300,脈拍数49/分,血圧96/80mmHgであった。緊急で施行した心エコー検査にて心嚢液貯留を認めたためStanford A型急性大動脈解離(以下A型解離)による心タンポナーデの可能性が疑われた。気管挿管後に,患者は心肺停止したため心肺蘇生を開始し,2分後に自己心拍は再開した。しかし循環動態が不安定となったため心嚢穿刺を施行した。約10mLの血性心嚢液を吸引した後は,速やかに血圧が上昇し,その後循環動態は安定した。造影CT検査の結果,A型解離と診断が確定し,緊急手術(上行-弓部部分置換術)が施行された。第22病日にICUを退出したが,誤嚥性肺炎を併発し,第177病日に永眠された。A型解離に合併した心タンポナーデに対する心嚢穿刺は,手術待機の間に循環が維持できない場合には考慮すべきと考えられた。その際は,ドレナージ量を最小限にして,血圧を過度に上昇させないことが重要であると考えられる。