著者
今村 美穂 牛尼 翔太 宮田 慎吾
出版者
一般社団法人 日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会誌 (ISSN:13411535)
巻号頁・発行日
vol.52, no.2, pp.67-80, 2019-04-05 (Released:2019-04-26)
参考文献数
20
被引用文献数
2

郷土料理としょうゆの相性を検討するために,北海道の郷土料理「芋もち」と全国共通の料理「冷奴」を北海道,関東および九州のしょうゆで調味し,北海道在住の女性6世代(幼児,小学生,中学生,大学生,成人,高齢者)約50人ずつを対象に官能評価を行った。その結果,北海道の郷土料理である芋もちは,香り,色,味のいずれにおいても北海道のしょうゆで調味したものが好まれた。また,印象の評価においても高い評価を得た。冷奴についても,北海道のしょうゆは嗜好性と印象の双方で評価が高かった。なお,地元のしょうゆとその他の地域のしょうゆで調味した料理の評価に違いが現れるのは,中学生ころからであった。さらに,北海道のしょうゆを高く評価した被験者の共通点について検討したところ,芋もちの調味では年代という因子が抽出された。したがって,食生活の内容よりも,北海道に住み,そこで日々の食生活を送ることそのものが地元の味覚を育むために重要と考えられた。