- 著者
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宮田 斉
- 出版者
- 日本理科教育学会
- 雑誌
- 理科教育学研究 (ISSN:13452614)
- 巻号頁・発行日
- vol.45, no.3, pp.61-72, 2005-03-01
- 被引用文献数
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8
本研究の目的は,中学1年の「ガスバーナーの基礎操作」の授業(全2.4時限)を事例として,ガスバーナーの操作技能を協同で学ぶ際の生徒の教えあいを阻む要因を明らかにしその要因を克服する教授法としての"循環型の問答-批評学習"利用の有用性を検討することである。その結果,本事例の範囲内において,"生徒の「操作技能を獲得したい」と「緊急的な危険回避」といった思念に起因する強い語調の助言"と,「操作が難しいと認識している生徒が,自分の助言した通り操作できない事態を見て,操作者が自分の助言を受け入れていないと判断する」といった他人の情況を推し量れない事態"が,ガスバーナーの操作技能指導における生徒間の支持的な関係の構築を阻む要因として見い出された。そして,"循環型の問答-批評学習"利用は,誤操作に際して"ストップと言った後,「事前説明や操作等の良い点を述べた後,改善点を付け足す」"といった発話の表出を促し,生徒にこれらの要因によって脆弱化した支持的な関係を省みさせ,メタコミユニケーションを行う心のゆとりを与えて,質の高い教えあいを促すことが見い出された。