著者
宮田 斉 岡田 能直
出版者
日本理科教育学会
雑誌
理科教育学研究 (ISSN:13452614)
巻号頁・発行日
vol.48, no.1, pp.117-124, 2007-07-31
被引用文献数
2

本研究の目的は,中学1年「ガスバーナーの基礎操作」の授業(全3.4時限)とその直後約1.5か月間に実施したガスバーナーを使用する3時限の授業を事例として,開発した「ガスバーナーモデルの製作・利用」を用いた指導法とこのモデルの製作・利用を行わない授業を設計し,操作技能指導終了直後とガスバーナーを使用する3時限の授業終了約2か月後に実施したパフォーマンステストと質問紙調査の結果から,「ガスバーナーモデルの製作・利用」の指導法が,生徒にガスバーナーの操作技能や操作方法に関する知識の獲得を促すかについて明らかにすることである。その結果,本事例の範囲内において,次の2点が見い出された。ガスバーナーモデルの製作・利用の指導法は,生徒にガスバーナーの操作に関する言語的表象と映像的表象を結びつけた象徴的表象の記憶と実際のずれの修正をすすめさせた結果,(1)生徒にガスバーナーの操作技能の獲得を促す。そして,この指導法は,多くの生徒にガスバーナーの操作技能を獲得させる。(2)この指導法は,生徒に他人へ伝達できる程度の客観性を持つような形で自分なりに文章表現できる程度の知識の獲得を促す。この点は男子に顕著な傾向がある。