1 0 0 0 OA 食道外科

著者
佐藤 弘 宮脇 豊 李 世翼 桜本 信一 牧田 茂
出版者
日本外科代謝栄養学会
雑誌
外科と代謝・栄養 (ISSN:03895564)
巻号頁・発行日
vol.55, no.6, pp.242-245, 2021-12-15 (Released:2022-01-15)
参考文献数
10

周術期早期回復プログラムの1つにEnhanced Recovery after Surgery (ERAS®)という概念がよく知られている. 当初は, 高度侵襲手術の1つに分類される胸部食道癌手術には適用が困難とも考えられていたが, 次第に普及し, 効果的に運用されている. しかしながら, 適用が進むにつれて, 多くの問題点が認められるのも現状と考えられる. 確かに“早期に回復する”ことは重要である. しかし周術期だけのアウトカムがよければよいというものではない. 本来, 本プログラムを適用することによって, 術後6カ月, 1年など中長期的にみても有用であることを証明しなければいけないと考える. また診療報酬上も, 適切に評価されるべきと考えられる. 診療報酬として算定されることになれば, 本プログラムがより多くの施設で適用されるようになり, 医療の質の向上につながることが期待される. 本稿は, 消化器癌の中でも高度侵襲手術の1つに分類される胸部食道癌根治手術を例にとり, ERAS術後早期回復プログラムの問題点について述べたい.
著者
佐藤 弘 宮脇 豊 藤原 直人 桜本 信一 岡本 光順 山口 茂樹 小山 勇 牧田 茂
出版者
日本外科代謝栄養学会
雑誌
外科と代謝・栄養 (ISSN:03895564)
巻号頁・発行日
vol.52, no.6, pp.289-293, 2018-12-15 (Released:2019-02-01)
参考文献数
10

生体が手術侵襲で受けたダメージから,より早い回復を目指すことは,術後管理の最大の目標である.術後のより早期に回復を目指す体系的なプログラムにEnhanced Recovery after Surgery(ERAS®)という概念がある.このなかで早期離床を軸とした運動療法は重要な役割を担う.高度侵襲手術の1つに分類される食道癌の運動療法においても,早期離床が重要となる. 胸部食道癌手術の運動療法を早期に施行することは,従来困難と考えられていた.多職種チーム医療による周術期管理により術後第1病日から離床が施行されるようになりその安全性と効果も報告されるようになってきた.しかしながら入院中だけの介入では不十分であり,外来リハビリテーションの確立が急務である.食道癌の運動療法の実際と課題を概説する.