著者
花輪 由樹 岸本 幸臣 宮﨑 陽子
出版者
一般社団法人 日本家政学会
雑誌
一般社団法人日本家政学会研究発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.70, pp.97, 2018

■研究背景:近年、SNSを利用した「資源」と「ニーズ」を繋ぐシェアリングエコノミー(以下SEと称す)が流行している。SEは、主に「お金」「スキル」「空間」「モノ」「移動」を対象に、顔見知りの範囲を越えて行われるシェアをいう。例えば旅先で他人の部屋を借りる「airbnb」や、移動手段として個人の車に乗る「uber」等が有名で、基本的には個人間で取引が行われる。<br>■研究目的と方法:本研究では、このようなSE現象を家政学的視点からそれが大量生産・大量消費型生活の再考に提起する意義と可能性を探ることを目指した。なお方法として、「安全・安心で持続可能な豊かな家庭生活」の実現にどう寄与するのかという側面に着目し、SE現象を分析した。<br>■研究結果:身近な資源の有効活用は、生活者にとって金銭的効率性や今までにない新たな人間関係の構築ができ、また生活者がスキルを活かす新たな活躍の場を得るなど、充実した生活への萌芽的試みとなりうる。一方、やり取りが個人間であるため、子育てサービスなど「安全・安心」への信頼度が必要な行為は、それを保障する情報が欠かせない。したがって、SE利用が私達の生活をどう充実させるのか、また「安全・安心」で持続的な利用をするためにはどうしたらよいかを考えられるSEリテラシー育成の社会的担保も必要である。また「安全・安心」の基準を探ることも、見知らぬ人どうしで新しい繋がりを形成するSE社会の課題といえる。