著者
花輪 由樹 岸本 幸臣 宮﨑 陽子
出版者
一般社団法人 日本家政学会
雑誌
一般社団法人日本家政学会研究発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.70, pp.97, 2018

■研究背景:近年、SNSを利用した「資源」と「ニーズ」を繋ぐシェアリングエコノミー(以下SEと称す)が流行している。SEは、主に「お金」「スキル」「空間」「モノ」「移動」を対象に、顔見知りの範囲を越えて行われるシェアをいう。例えば旅先で他人の部屋を借りる「airbnb」や、移動手段として個人の車に乗る「uber」等が有名で、基本的には個人間で取引が行われる。<br>■研究目的と方法:本研究では、このようなSE現象を家政学的視点からそれが大量生産・大量消費型生活の再考に提起する意義と可能性を探ることを目指した。なお方法として、「安全・安心で持続可能な豊かな家庭生活」の実現にどう寄与するのかという側面に着目し、SE現象を分析した。<br>■研究結果:身近な資源の有効活用は、生活者にとって金銭的効率性や今までにない新たな人間関係の構築ができ、また生活者がスキルを活かす新たな活躍の場を得るなど、充実した生活への萌芽的試みとなりうる。一方、やり取りが個人間であるため、子育てサービスなど「安全・安心」への信頼度が必要な行為は、それを保障する情報が欠かせない。したがって、SE利用が私達の生活をどう充実させるのか、また「安全・安心」で持続的な利用をするためにはどうしたらよいかを考えられるSEリテラシー育成の社会的担保も必要である。また「安全・安心」の基準を探ることも、見知らぬ人どうしで新しい繋がりを形成するSE社会の課題といえる。
著者
花輪 由樹 西垣 安比古
出版者
日本建築学会
雑誌
日本建築学会計画系論文集 (ISSN:13404210)
巻号頁・発行日
vol.79, no.705, pp.2497-2505, 2014-11-30 (Released:2014-11-30)
参考文献数
26

This paper attempts to elucidate about a transition on volume changes of “home province” and “region” in course of study and a meaning of remaining “home province” in the showa 40s that was times changed from “home province” to “region”. First, in elementary school and junior high school, it was only in “social studies” that changed from “home province” to “region”. Secondly, for education about sense of dwelling, “home province” in the showa 40s was not sufficient.
著者
花輪 由樹
出版者
日本建築学会
雑誌
日本建築学会計画系論文集 (ISSN:13404210)
巻号頁・発行日
vol.80, no.712, pp.1445-1451, 2015 (Released:2015-07-11)
参考文献数
77
被引用文献数
1

This paper attempts to elucidate the coexistence of “the remaining ‘Heimat’ for children” and “‘Heimat’ defined by their ancestors and others” in the field of dwelling education by focusing on ideas on the term in E. Spranger's works. Spranger says that ‘Heimat’is characterized and linked to the soil where people live and experience on a daily basis. In short, it became clear that through the teacher's advice “third-person-defined ‘Heimat’” can exist next to the definition of ‘Heimat’children themselves have in their minds.
著者
花輪 由樹
出版者
日本家庭科教育学会
雑誌
日本家庭科教育学会大会・例会・セミナー研究発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.58, 2015

【研究背景と目的】我が国では男女共同参画社会の推進と少子高齢化等への対応から、『学習指導要領』でも家庭のあり方や子育ての意義などをより一層充実させるように改訂する動きがあり、家庭科教育における保育領域が重視されるようになっている1)。家庭科の保育領域に関する既往研究には、家庭科教師(中・高校)と保育者(幼稚園・保育所)へのインタビュー調査により教育的課題を明らかにした研究2)や、短大生の紙芝居製作において製作者の学習効果を指摘した研究3)や、保育体験学習が子どもへのイメージと自己効力感を変容させることに注目した研究4)等があるが、保育所での交流内容について究明したものはあまりみられない。そこで本研究は、高等学校家庭科の保育領域で、保育所訪問時に、食領域の五大栄養素をテーマにした紙芝居を披露させることにより、披露する生徒がどのような感想を抱くのかを明らかにし、食と保育の領域横断的な実践の可能性を探ることを目的とした。<br> <br>【方法】対象は関西圏にある某高等学校衛生看護科で、訪問日時は2015年1月末の5,6校時、訪問場所は高等学校より徒歩15分のエリアにある保育所に訪問した。紙芝居製作は、2学期の食に関する知識学習と並行して製作させ、その際、保育所訪問することを念頭に5グループに分かれて五大栄養素をテーマに取り組ませた。このような中で当日は、4,5歳児の3クラスを対象に1グループ3回の紙芝居披露を行い、その後園児達と自由に遊び、最後に園児達からピアニカ演奏の披露を受けるという内容を実施した。訪問後に行った3学期の期末テストにおいて、以下の7点の質問を行った。本稿では、紙芝居披露に関するものとして、1,2,7の回答を分析した。(1.紙芝居をつくる際に工夫した点、2.紙芝居を披露してみて感じたこと、3.子ども達と何をして遊んだか、4.子ども達と遊ぶ際に気をつけたこと、5.子ども達から演奏を披露してもらい、何を感じたか、6.もし保育園に再度訪問できるとしたら、紙芝居以外にどのような企画を実施したいか、7.今回の保育園訪問の経験を、あなたの将来の職業生活・家庭生活にどのように生かしていきたいか)<br> <br>【結果】1.紙芝居づくりで工夫した点については、主に「言葉」と「絵」をあげていた。「言葉」については、ひらがなで書いたり、なるべく難しい表現を使わないように気を使っており、「絵」については、色合いを鮮やかにしたり、ひと目で見てすぐ分かるような工夫をしていた。2.披露して感じたことは、喜んでくれて嬉しかったというように園児の反応に自分の感想を重ねている者が多く、また難しい漢字を読めていたことや静かに聞いてくれたことへの驚きを感じている者もいた。7.今後の生活への応用については、多くの生徒が子どもの接し方や触れ合い方を知ることができたと述べており、これを将来子どもが産まれた時に生かしたいと答えている者や、看護師として小児科等で子どもに接する際に絵本の読み聞かせなどをしていきたいと述べている者もみられた。今回の分析では食をテーマとした紙芝居の保育実践により生徒達の保育領域への深化が明らかになったが、食領域に関する学習効果はうかがうことができなかったため、これは今後の課題としてあげておきたい。<br> <br>1)岡野雅子,宮澤愛,赤塚みのり:高等学校家庭科「保育領域」についての現状と課題 : 長野県家庭科教員に対する調査から,信州大学教育学部紀要 114,pp.13-24,2005<br> <br>2)伊藤葉子:中・高校生の家庭科の保育体験学習の教育的課題に関する検討,日本家政学会誌,Vol.58,No.6,pp.315-326,2007<br> <br>3)芝静子:「調べてつくる」家庭科の紙芝居製作指導―5年間の実践とその評価―,広島大学教育学部紀要<br>第二部 第42号,pp.139-149,1993<br> <br>4)鎌野育代,伊藤葉子:子どものイメージと自己効力感の変容からみる保育体験学習の教育的効果, 日本家庭科教育学会誌 52(4),pp.283-290,2010.1