著者
富山 大輔 梅原 拓也
出版者
一般社団法人 日本農村医学会
雑誌
日本農村医学会雑誌 (ISSN:04682513)
巻号頁・発行日
vol.69, no.1, pp.15-23, 2020 (Released:2020-07-16)
参考文献数
22

本研究の目的は,訪問リハビリテーション(以下,訪問リハ)利用者の日常生活活動(Activities of daily living:以下,ADL)変化に影響する因子を明らかにすることである。対象は,2017年12月から2018年6月の間に訪問リハを6か月間利用した者とし,疾患による除外基準は設定しなかった。調査時期は,調査開始時と6か月後とし,基本情報,握力,Bedside Mobility Scale(以下,BMS),Functional Independence Measure(以下,FIM)を調査した。握力,BMS,FIMについては変化量(6か月後-調査開始時)を算出し,FIM変化量に影響する因子を検討した。対象者は35名であった(平均年齢77.4±10.4歳,女性21名)。重回帰分析(ステップワイズ法)の結果,発症からの期間,握力変化量,BMS変化量が影響因子として抽出された。標準偏回帰係数は,発症からの期間で-0.331,握力変化量で0.353,BMS変化量で0.320であった。自由度調整済み決定係数は0.392であった。訪問リハ利用6か月後のADL向上には,発症後早期からの介入,握力の改善,ベッド周囲動作能力の改善が重要であることが示唆された。
著者
梅原 拓也 田中 亮 永尾 進 富山 大輔 川畑 祐貴
出版者
公益社団法人 広島県理学療法士会
雑誌
理学療法の臨床と研究 (ISSN:1880070X)
巻号頁・発行日
vol.23, pp.7-12, 2014-03-31 (Released:2015-03-13)
参考文献数
27
被引用文献数
1

「目的」本システマティックレビューおよびメタアナリシスの目的は,変形性膝関節症(膝OA)に罹患して人工膝関節置換術(TKA)を受けた患者に対する術前および術後の運動介入が在院日数に及ぼす影響について検討することである。「方法」4つの電子データベースを使用して,運動介入が在院日数に及ぼす影響を調べたランダム化比較試験(RCT)を収集した。実験群とコントロール群を比べた在院日数の差のデータを統合した。エビデンスレベルは,GRADEシステムを用いて評価した。「結果」8編のRCTが特定され, 6編は我々のメタアナリスにて統合可能なデータを報告していた。 3編の論文のデータを統合した結果, 術前の運動介入が在院日数に及ぼす有意な影響は示されなかった。一方, 残り3編の論文の統合データは, 術後の運動介入,特に早期運動介入が在院日数に及ぼす有意な影響を示した。エビデンスレベルは,術前の運動介入および術後の早期運動介入それぞれ「中」以下と判断された。「結論」我々は,TKA後の早期運動介入によって膝OA患者の在院日数は短縮できるというエビデンスを明らかにした。