著者
細井 昌子 安野 広三 早木 千絵 富岡 光直 木下 貴廣 藤井 悠子 足立 友理 荒木 登茂子 須藤 信行
出版者
一般社団法人 日本心身医学会
雑誌
心身医学 (ISSN:03850307)
巻号頁・発行日
vol.56, no.5, pp.445-452, 2016 (Released:2016-05-01)
参考文献数
4

線維筋痛症は病態が未解明な部分が多いが, 独特な心理特性, 免疫学的異常, 脳機能異常, 自律神経機能異常など多面的な病態が近年の研究で報告されている. 本稿では, 九州大学病院心療内科での治療経験をもとに, ペーシングの異常, 受動的な自己像が構築される背景と過剰適応・過活動, 安静時脳活動の異常について, 線維筋痛症における心身相関と全人的アプローチの理解促進のために, 病態メカニズムの仮説について概説した. 線維筋痛症では, default mode networkと呼ばれる無意識的な脳活動が島皮質と第2次感覚野と強く連結しているといわれており, これが中枢性の痛みとして, 過活動に伴う筋骨格系の痛みや自律神経機能異常といった末梢性の痛みと合併し, 複雑な心身医学的病態を構成していると考えられる. ペーシングを調整し, 意識と前意識や無意識の疎通性を増すための線維筋痛症患者に対する全人的アプローチが多くの心身医療の臨床現場で発展することが望まれる.
著者
富岡 光直
出版者
一般社団法人 日本心身医学会
雑誌
心身医学 (ISSN:03850307)
巻号頁・発行日
vol.57, no.10, pp.1025-1031, 2017 (Released:2017-10-01)
参考文献数
8

ストレス関連疾患あるいは心身症では, 心理社会的要因により否定的な情動や身体的緊張が持続するため, 持続, 増悪するメカニズムが存在する. リラクセーション法はストレス刺激による心理・生理的反応を緩和・緩衝する技法である. 広義には心身医学領域で用いられている心理療法全般が含まれることになるが, ここでは身体的緊張を改善する目的で用いられている技法に焦点を絞る.心身医学領域で用いられている主な技法には, 漸進的筋弛緩法, 自律訓練法, バイオフィードバック法, 呼吸法などがある. これらの技法がストレス関連疾患の治療に用いられる場合には, リラックス状態を得ることに加え, 心身の状態への気づきを高めること, セルフコントロール力を身につけること, 再発を防止することまでを視野に入れて指導が行われる (松岡, 2006).講習会では, 代表的な技法の概略を示し, 治療の中でどのように用いられているのかを解説した.
著者
細井 昌子 安野 広三 早木 千絵 富岡 光直 木下 貴廣 藤井 悠子 足立 友理 荒木 登茂子 須藤 信行
出版者
一般社団法人 日本心身医学会
雑誌
心身医学 (ISSN:03850307)
巻号頁・発行日
vol.56, no.5, pp.445-452, 2016

線維筋痛症は病態が未解明な部分が多いが, 独特な心理特性, 免疫学的異常, 脳機能異常, 自律神経機能異常など多面的な病態が近年の研究で報告されている. 本稿では, 九州大学病院心療内科での治療経験をもとに, ペーシングの異常, 受動的な自己像が構築される背景と過剰適応・過活動, 安静時脳活動の異常について, 線維筋痛症における心身相関と全人的アプローチの理解促進のために, 病態メカニズムの仮説について概説した. 線維筋痛症では, default mode networkと呼ばれる無意識的な脳活動が島皮質と第2次感覚野と強く連結しているといわれており, これが中枢性の痛みとして, 過活動に伴う筋骨格系の痛みや自律神経機能異常といった末梢性の痛みと合併し, 複雑な心身医学的病態を構成していると考えられる. ペーシングを調整し, 意識と前意識や無意識の疎通性を増すための線維筋痛症患者に対する全人的アプローチが多くの心身医療の臨床現場で発展することが望まれる.