著者
横山 浩之 小林 淳子 富澤 弥生
出版者
福島県立医科大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2018-04-01

コロナウィルス感染症による影響で、全国的に不登校などの問題が増えることがとりざたされているが、研究協力市町村での様相は大分異なっていた。① すでにさまざまな施策がとられてきたA市・B町では、3歳半健診における就寝時刻が遅れる傾向があった(統計学的有意差なし)のみで、メディア曝露時間は増加しなかった。また、小中学校の不登校も増加しなかった。② 施策を取り始めたばかりのC市・D市・E市・F町・G町では、3歳半健診における就寝時刻が有意に悪化した。2時間を超えるメディア曝露している3歳児が有意に増加しており、C市では、妊産婦と母親に対して、本研究で作成した啓発パンフレットを母子手帳配布時、妊産婦健診、出産時、乳児健診等で繰り返し配布し、1歳半健診における要フォローアップ率で評価する研究を開始した。これらの市町村では、小中学校の不登校率も悪化の一途をたどっていた。③ 教育委員会が本事業に参加するD市では、先進地域のA市・B町を視察していただき、D市の事業展開にあたり、どのような観点が切れ目のない支援にとって大切かを検討し、令和4年度からの事業展開に活かすこととなった。 この視察で明確になったのは、市町村差よりも県域の差による制度面の異なりが大きいことで、D市では令和4年度に文部科学省の特別支援教育調査官経験者による研修会を本研究の協賛で行うことになった。④ 昨々年度に作成した簡易版ペアレントトレーニング手法のパンフレットをA市・H町において1歳6か月健診において配布し、3歳半健診において、手法の有効性を検討する試みを開始した。
著者
富澤 弥生 塩飽 仁
出版者
一般社団法人日本小児看護学会
雑誌
日本小児看護学会誌 (ISSN:13449923)
巻号頁・発行日
vol.14, no.1, pp.16-23, 2005-03-20
参考文献数
14

本研究の目的は、小児白血病の中で頻度が高く再発のリスクが最も低い子どもの低リスク群白血病を母親が認識する過程を明らかにすることである。本研究は、低リスク群白血病患児の母親7名を対象に調査を行い、研究方法は、グラウンデッド・セオリー・アプローチを用いた。その結果、母親が子どもの低リスク群白血病を認識する過程において,【発病理由の追究】,【仲間がいる感覚】,【見通しの実感】,【死と遠い距離感の保持】,【生活上の目標設定】の5つのカテゴリーが生成され,その中で最終過程にあるカテゴリーは【生活上の目標設定】であり,中核カテゴリーは【まともな生活】であった。本研究において、他の子どもが亡くなった時、再発した時、また、退院後などに、各カテゴリーに対応した母親に対する適切な看護介入の必要性が示唆された。