著者
道堯 浩二郎 平岡 淳 鶴田 美帆 相引 利彦 奥平 知成 山子 泰加 寺尾 美紗 岩﨑 竜一朗 壷内 栄治 渡辺 崇夫 吉田 理 阿部 雅則 二宮 朋之 日浅 陽一
出版者
一般社団法人 日本肝臓学会
雑誌
肝臓 (ISSN:04514203)
巻号頁・発行日
vol.60, no.1, pp.14-22, 2019-01-18 (Released:2019-01-23)
参考文献数
28

肝疾患におけるカルニチン,亜鉛低下例の頻度と他の肝代謝マーカーとの関連を明らかにすることを目的とした.慢性肝炎(CH)41例,肝硬変(LC)88例(肝細胞癌非合併群60例,合併群28例)を対象に,カルニチン,亜鉛,アンモニア,BTR(BCAA/Tyr),アルブミン(Alb)を測定し,低下例の頻度と互いの関連を検討した.カルニチン高度低下例はなく,軽度低下例はLCの23.9%にみられ,うち42.9%はアシルカルニチン/遊離カルニチン比>0.4での基準合致例であった.亜鉛高度低下例はCH 0%,LC 30.7%,軽度低下例はCH 31.7%,LC 40.9%にみられた.アシルカルニチンと亜鉛はアンモニア,BTR,BCAAと相関があったが,遊離カルニチンはこれらと相関はなかった.以上よりカルニチンと亜鉛は慢性肝疾患例の一部で低下し,両者の動態と肝代謝マーカーとの関連には差異がみられた.