- 著者
-
有吉 誠一郎
田井 野徹
寺嶋 亘
大谷 知行
- 出版者
- 名古屋工業大学
- 雑誌
- 挑戦的萌芽研究
- 巻号頁・発行日
- 2011
本研究は、超伝導トンネル接合素子(STJ)の新しい作製法を用いて究極感度の検出デバイス実現へ向けた技術的基礎を築くことにあった。具体的には、従来の多結晶成膜法(スパッタ法)に代わり、単結晶成膜法(分子線エピタキシー法)を導入し、原子層レベルで平坦なトンネルバリア界面を形成することで超低雑音特性をもつAl系STJ素子の作製技術を検討した。まず、Al単層膜の成膜時にはAl203(oool)とsi(111)の2種の基板を用いた。反射高速電子線回折(RHEED)や原子間力顕微鏡等を用いて薄膜の結晶性と平坦性を多角的に評価した結果、平坦性と結晶性の両立の観点から成膜時の基板温度は約100℃が適していることが分かった。次に、MgOをトンネル障壁とする3層膜をSTJ素子に加工し0.3Kに冷却して電流電圧特性を評価した結果、STJ素子の臨界電流密度は15.5~ll7A/cm2、素子品質の指標の一つであるR、g/R、は4.0~60.2であり、良好な特性を有する3層エピタキシャルSTJ素子を実現した。