著者
井戸田 秀樹
出版者
名古屋工業大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2006

本研究は,鋼構造部材の靭性に不可避な不確定性が存在することを前提とし,鉄骨ラーメンの耐震信頼性を効率的に向上させるための部材靭性統計量制御についての新たな知見を目的としたものである.研究成果は以下の3点である.(1)部材靭性の不確定性が鉄骨ラーメンの耐震信頼性に与える影響を把握した.(2)文献調査と実験に基づく部材耐力および靭性の統計情報の再構築を行った.(3)鉄骨ラーメンの効率的な耐震信頼性向上を実現する部材靭性の統計的性質を提示した.
著者
大桑 哲男
出版者
名古屋工業大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2010-04-01

高齢ラット、肥満ラット及び糖尿病ラットを対象に運動トレーニング及びL-アルギニン投与が血液の凝固・線溶に及ぼす影響をタンパク質酸化及び脂質過酸化から検討した。本実験においてL-アルギニン摂取と運動トレーニング群のプラスミノゲン活性化因子は正常ラットに比べ有意に増大し、血液凝固マーカー(トロンボキサンB2)は有意に減少した。またL-アルギニン摂取と運動トレーニング群のタンパク質酸化及び脂質過酸化は対照群に比較し有意に減少し、還元型グルタチオン及びグルタチオンレダクターゼ活性は有意に増大した。これらの結果から運動とL-アルギニン摂取は酸化ストレス軽減させ、血栓予防に有効であることが示唆された。
著者
中村 光一 稲葉 次紀 若松 勝寿 仲野 〓 河崎 善一郎 依田 正之
出版者
名古屋工業大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
1996

平成10年度冬季ロケット誘雷実験は、準備・撤収を含めて平成10年10月26日から12月5日までの間、石川県奥獅子吼山山頂の北陸電力試験用送電線30号鉄塔付近で実施された。今年度は、鉄塔誘雷6回、地上誘雷10回の計16回の誘雷に成功した。この16回を加えると昭和52年度からの通算成功回数は187回(過去のエアー砲通算2を含まず)となる。本実験では火薬ロケット、火薬を使わないエアー砲、も試みた。主な研究項目は次の通りである。(1)鉄塔誘雷:160m長のナイロン糸でワイヤを絶縁することにより、鉄塔誘雷を目指す。鉄塔側では、碍子間電圧、塔脚電位、鉄塔脚に接続した針付き接地電極への分流、などの測定。(2)地上誘雷:接地されたスチールワイヤを火薬ロケット、エアー砲、ウォータロケットにより引き上げ、地上への誘雷を目指した。限流式避雷針の特性試験、雷エネルギー測定、雷管石の生成。(3)ロケット搭載型電界計による空間電界の測定、(4)雷測定:雷撃電流、地上電界、磁界変化、放電路の光学観測、雷鳴による放電路再現、液晶雷警報器の屋外試験、鉄塔コロナ電流、搭頂電界測定。(5)4km離れたベースでは地電流測定を行った。(6)誘雨ロケットによる誘雨試験も併せて行った。誘雷を目的としたロケットは21回打ち上げて16回成功した。他に、エアーロケットに200m長のロープを取り付け、地上に回収する方式の試験も実験した。結果の一覧を表1に示す。60m鉄塔への誘雷には160m長のナイロン糸を使用した。9回の内6回成功し、1回は山側下相導体に誘雷した。中国式限流避雷針と従来形避雷針を6m置いて並列させ、その上空20mに誘雷を導き、いづれの避雷針に誘雷するかのテストを試みたが、別の場所に誘雷した。ウォータロケットは、飛行高度が不充分で誘雷に到らなかった。本研究は、平成8年度から、3年間の継続研究であり、3年間の合計誘雷成功数は、36にのぼる。この実験を通して上述の(1)〜(6)に関し、多くの成果が得られた。
著者
小山 由紀江 杉森 直樹 田中 省作
出版者
名古屋工業大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2010

本研究の目的は理工系学生の英語語彙・語句に関する能力を測定するために、科学技術コーパスデータの分析に基づいたコンピュータ適応型テスト(CAT)を作成することである。この目的ため、科学技術コーパスを分析し、重要語彙・語句を抽出しこれを試験項目に使用した。テスト項目の分析と受験者の能力推定にはLatent Rank Theory(LRT)を採用し、予備テストを実施し230項目の項目バンクを作成した。これらを基に開発した理工系英語CATをmoodle上で実施した結果、科学技術英語のテストとして一定の妥当性があることが解った。
著者
川島 慶子
出版者
名古屋工業大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011-04-28

本研究はマリー・キュリーとパリの科学アカデミーの関係について、ジェンダーの視点から分析したものである。キュリーは女性初のノーベル賞受賞者かつ、人類初の二度のノーベル賞受賞者として、科学史上の偉人である。しかしフランスでは、著名な科学者なら必ず所属する科学アカデミーの会員選挙に落選した。ノーベル物理学賞の共同受賞者である夫のピエールもベクレルも会員である。つまりマリーの落選には20世紀初頭のフランスにおけるジェンダーバイアスが影響していた。加えて、この選挙事件には民族問題と政教分離の問題も影響していた。これら三問題は現在同様絡みあい、キュリーの科学者としてのキャリアに、大きな影響を与えた。
著者
加藤 昇平
出版者
名古屋工業大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2013-04-01

本研究課題では、高齢者の音声に対する独自の解析手法を提案することで,ごく早期の認知症発見・予防を目的とした極めて簡易な,在宅でも利用可能な音声認知症スクリーニングの基礎アルゴリズムを開発した。データ解析ならびにデータマイニング技術の手法であるROC解析ならびに多重ロジスティック回帰分析の技術を応用することで、高齢者の質問応答発話音声から抽出した音響ならびに韻律特徴を用いて認知機能の危険度指標SPCIRを計算するアルゴリズムを提案した。これにより、誰でも、定期的に、安心して認知症スクリーニング検査を受けることができ、認知症の疑いを早期に発見することで専門医への受診誘導を促す仕組みが実現される。
著者
坂上 文彦
出版者
名古屋工業大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2014-04-01

本研究では,ライトフィールドディスプレイの作成方法について検討し,その作成方法および校正方法について確立した.この方法では,観測者を模したカメラによりライトフィールドディスプレイを撮影することで,幾何的な情報を取得することなくどのようなライトフィールドが提示されるかをモデル化することに成功した.また,このようなモデルを用いることで,低視力者が裸眼でディスプレイを観測した場合に,任意の鮮明な画像を観測させることに成功した.さらに,画像を観測させるだけで視力を計測可能となる方法を提案した.また,通常のディスプレイを用いて視力仮想矯正を実現する方法についても提案した.
著者
前田 健一
出版者
名古屋工業大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2011-04-01

防波堤等の防災の構造物は海底や大きな石を積み上げたマウンドなどの地盤で支えられていることから,津波の押し波や引き波が構造物に作用する圧力だけでなく,地盤に波が浸透することにも着目した.その結果,地盤がゆるんで弱くなる液状化が被害を大きくするとともに,いったん構造物を超えた波が再び海面に落ち込む越流によっても,地盤の表面に液状化が発生し,大きく削る洗掘が発生することを明らかにした.さらに,津波襲来前の地震動による液状化の影響を調べ,巨大地震では以上のような液状化の負の連鎖が被害を大きくすることを示すとともに,被害を減らすための対策方法について,地盤工学の立場から提案している.
著者
山本 いずみ
出版者
名古屋工業大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2003

本研究の目的は、明治期の新文体の創造期における、翻訳文学が文章語に与えた影響について、ミステリー小説という極めて大衆的な分野から見ることにある。そのために、以下のようなことを行った。平成15年度:E.A.Poe原作"The Black Cat"の明治期の翻訳(広い意味での)を集め、原文に沿う形で切り分け、Excelの一覧表とする作業を中心に研究を進めた。用いた資料は、饗庭篁村「西洋怪談黒猫」(明治20年11月『読売新聞』)から平塚らいてう「黒猫」(明治44年12月『青鞜』)までの6作品であった。また、明治期の翻訳という観点からShakespeare原作"Hamulet"の翻訳6本を取り上げて比較検討し、「それぞれのハムレット」(名古屋工業大学紀要第55巻)としてまとめた。平成16年度:榎本破笠「蔦紅葉」(原作は"The Murders in The Rue Morgue"明治25年11〜12月『やまと新聞』)を中心に研究を進め、前年度の"The Black Cat"に関する考察を「独白する者-"I"の変遷-」としてまとめ、名古屋言語研究会で発表した。また、明治期の翻訳語という観点から「情報」という言葉の変遷を論文「情報通」(『人間社会論集IV技術社会のバックグラウンド』vol.4所収)としてまとめた。平成17年度:伝統的な和文脈「私…われ/わが…」および漢文脈「余…われ/わが…」が新しい書き言葉「私…自分/自身…」へと移り変わる様相を「日本の『黒猫』における一人称代名詞の変遷について-Edgar Allan Poe原作"The Black Cat"-」(『児童文学翻訳作品総覧アメリカ・ギリシャ・アラブ編』所収)をまとめる一方で、『現代語で読む「松陰中納言物語」付本文』(和泉書院)を著わし、和文脈の中においてどのように会話文が成立しているかについても検討した。以上より、使用された人称代名詞の変化と文体の密接な関係を利用することで、文体変化の一端を明らかにすることができた。また、研究の過程で、独白文と会話文で用いる人称代名詞が異なることに興味を惹かれた。今後は、この点を掘り下げ、会話文の独立と新しい書き言葉成立の関係を明らかにして行きたいと考えている。
著者
大貫 徹
出版者
名古屋工業大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2010

本研究では、ハーン作『耳なし芳一』とそれをアルトーが翻案した『哀れな楽師の驚異の冒険』との比較検討を行うことを通じて、アルトーが、その晩年に、ゴッホの中にもうひとりの「芳一」を見出す経緯を明らかにした。原話の『臥遊奇談』からハーンへと引き継がれてきた「亡霊に取り憑かれてしまった琵琶法師芳一の悲劇」という物語は、アルトーにおいて大きく変貌し、アルトーは芳一の盲目性さえ否定する。しかしだからこそ、アルトーは、その晩年、琵琶法師とか音楽家とはまったく無縁な、画家ゴッホの中にもうひとりの芳一を見出し、そのことによって、ハーン文学の精髄である「異界との接触」というテーマを継承することができた。
著者
佐野 明人 藤本 英雄 池俣 吉人
出版者
名古屋工業大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2009

受動歩行の力学的原理に基づき, 13時間45分の連続歩行に成功し,ギネス世界記録に認定された.また,ヒトが必要最小限のアシストを加えることで,平地を含むヒトの生活空間での歩行が可能となった.さらに,ヒトに酷似した外装を施すと,ヒトの歩行と見間違えるほどであり気配さえ感じる.上体効果により歩行効率を高められることが実証され,腰関節トルクは脚および膝関節に有効に働くことが示され,膝折れやつまずきによる転倒を低減させた.また,高速移動として,時速10kmクラスの真にヒトのような走行を実現した.
著者
川橋 範子 黒木 雅子 小松 加代子 熊本 英人
出版者
名古屋工業大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2005

日本でのフェミニズム研究と宗教研究の関係の進展を課題としてきた本研究では、「欧米中心的物の見方」への批判的問い直しをするとともに、複数形フェミニズムのなかで、非西欧女性の宗教経験を、家父長制の因果関係や弱者の戦略ではなく、新しい視野でとらえなおす試みをしてきた。「宗教と社会」学会において2年続けて、テーマセッションを企画・実行してきた。本年度は、テーマセッション「仏教ルネッサンスの向こう側-ラディカルな現代仏教批判」を企画し、4月に研究会を開いてその準備をし、「宗教と社会」学会第15回学術大会で、川橋(発表・司会者)熊本(発表・司会者)が加わって実施した。また、研究代表者の川橋は国際宗教学宗教史会議の女性委員会運営委員をつとめ、この会議における女性研究者ネットワーク立ち上げに協力した。今後、このネットワークを通して、各国の研究者と積極的に情報交換を行い、国際的な研究者ネットワークの確立を行うと同時に日本の女性宗教研究者の開拓を行う予定である。本年度の情報収集のための旅行としては、黒木が、ギリシャ・メテオラに出かけ、小松がアイルランドに出かけ、それぞれ修道院と尼僧の歴史的研究資料を、女神信仰の具体的な資料を収集してきた。今後も、性別にかかわる差別と権力構造を明示し社会変革の梃子になる力を生み出す批判的概念としてのジェンダーの視点を、社会の中の性差にまつわる非対称性をあきらかにするものとしてとらえ、人間の平等な尊厳と解放を目指す宗教という事象の研究に当てはめていくことを、我々のさらなる課題と考えている。(660文字)