著者
宍戸 寛明 芝内 孝禎 寺嶋 孝仁 松田 祐司
出版者
一般社団法人 日本物理学会
雑誌
日本物理学会誌 (ISSN:00290181)
巻号頁・発行日
vol.65, no.11, pp.877-881, 2010-11-05 (Released:2020-01-18)
参考文献数
24
被引用文献数
1

ある種の希土類化合物では伝導電子の有効質量が自由電子の数百倍にもに達する「重い電子」による金属状態が形成され,今まで知られている金属の中で最も強い電子相関を持った状態が実現される.これまでの重い電子系化合物はすべて3次元的な電子構造を持っていた.最近我々は分子線エピタキシー法により希土類化合物の人工超格子薄膜を作製し,重い電子系の次元性を3次元から2次元に制御することに成功した.2次元空間の重い電子系(2次元近藤格子)は通常の金属が示すフェルミ液体的振る舞いから大きくはずれた振る舞いを示す.