著者
鹿子嶋 正彦 友松 貴子 福田 哲子 三ヶ島 浩 寺澤 道夫
出版者
公益社団法人 日本薬理学会
雑誌
日本薬理学雑誌 (ISSN:00155691)
巻号頁・発行日
vol.97, no.5, pp.277-286, 1991 (Released:2007-02-13)
参考文献数
34
被引用文献数
1

ケミカルメディエーターにより誘発されるモルモット気道収縮とその時肺灌流液中に遊離されるケミカルメディエーター量に対するY-20811の作用を検討した.acetyl salicylic acidやindomethacinと同様にY-20811は0.01~1mg/kg,i.v.で用量に依存してarachidonic acidおよびLTD4により誘発されるモルモット気道収縮を抑制した.また,Y-20811(1mg/kg,i.v.)はPAFによるモルモット気道収縮も抑制した.Y-20811は経口投与でも0.3~10mg/kgでLTD4により誘発されるモルモット気道収縮を用量依存的に抑制し,10mg/kgでは抑制作用が投与24時間後まで持続した.しかし,Y-20811(1mg/kg,i.v.,10mg/kg,p.o.)はhistamine,serotonin及びacetylcholineによるモルモット気道収縮を抑制しなかった.mepyramineで前処置した受動感作モルモットでY-20811(10mg/kg,p.o.)は抗原誘発気道収縮を抑制した。arachidonic acidにより誘発されるモルモット気道収縮をY-20811(10mg/kg,p.o.)は抑制し,またその時肺灌流液中に遊離されるTXA2(TXB2として測定)の産生量を減少させ,PGE2の産生量を増加させた(TXB2およびPGE2の産生量はHPLCにより測定).LTD4およびPAFによる気道収縮時にもTXA2が産生されていることが明らかにされている.以上のことからY-20811がケミカルメディエーターにより誘発されるモルモット気道収縮を抑制するのはTXA2の産生量を減少させ,PGE2の産生量を増加させることに基づくことが示唆された.これらの成績からY-20811は新しい抗喘息薬としての有用性が期待される.
著者
川崎 和幸 山田 一磨呂 大江 孝範 鶴田 峯生 寺澤 道夫 今吉 朋憲 安永 幸弘 後藤 一洋
出版者
公益社団法人日本薬学会
雑誌
藥學雜誌 (ISSN:00316903)
巻号頁・発行日
vol.109, no.11, pp.827-834, 1989-11-25
被引用文献数
3

The pro-drugs of α, 2-dimethyl-5H-[1] benzopyrano [2,3-b] pyridine-7-acetic acid (I) with a potent anti-inflammatory activity were synthesized in order to reduce its gastrointestinal side effects. Various esters synthesized were evaluated for their anti-inflammatory activity and ulcerogenicity. Among the compounds maintaining a potent activity of I, N, N-dimethylcarbamoyl-methyl α, 2-dimethyl-5H-[1] benzopyrano [2,3-b] pyridine-7-acetate (II-18) showed excellent biopharmaceutical characteristics. The ulcerogenic effect of II-18 showed excellent biopharmaceutical characteristics. The ulcerogenic effect of II-18 on the rat gastric mucosa was about 3 times less than that of I. It was suggested that II-18 may be an useful biolabile pro-drug for I among the compounds tested.