著者
木村 みさか 森本 好子 寺田 光世
出版者
日本体力医学会
雑誌
体力科學 (ISSN:0039906X)
巻号頁・発行日
vol.40, no.5, pp.455-464, 1991-10-01
被引用文献数
17 9

一般の高齢者の運動習慣の実態を明らかにし,運動習慣と体力との関連について検討することを目的に,都市在住の60〜89歳の高齢者179名(男子82名,女子97名)を対象に,体力診断バッテリーテストの実施とともにあわせて運動習慣の調査を行い,以下の結果を得た.A.体力診断テストは,全ての項目で年齢と負の相関関係が認められた.B.何らかの運動習慣がある者は,男子87.8%,女子88.5%であったが,その内容は,散歩が最も多く,以下植木いじり,ゲートボール,ラジオ体操およびその他の体操,ハイキングの順であった.C.運動習慣のある者の体力診断バッテリーテストの成績は,無い者に比べ優れた値を示し男子では握力,息こらえ,総合点で,女子では握力を除く全項目で両群間の差が有意であった.D.運動の頻度,時間による各運動条件群間での体力の平均値は,両者とも多い者が少ない者より優れた傾向を示したが,その差は運動習慣のある者の間では比較的小さいものであった.E.はや足程度(RMR3.5)以上の運動を実施している者は,運動習慣の無い者やそれ以下の強度の運動実施者より優れた体力を示した.F.家事等で歩くエネルギーを加えた運動のエネルギー需要量(安静時代謝量を含まない)が多い者ほど体力診断テストの成績が優れていた.本調査では,運動の種類や実施状況によって体力差が認められた.しかし,最も大きな差は,現在,運動習慣があるか無いかにあったことより,高齢者においては体力の低下を防ぐ(あるいは低下を遅らす)ためには,比較的低レベルの身体運動でも有効であることが示唆された.
著者
寺田 光世 筏 安子 村田 俊喜
出版者
京都教育大学
雑誌
京都教育大學紀要. B, 自然科学 (ISSN:00236101)
巻号頁・発行日
vol.71, pp.55-61, 1988-03
被引用文献数
2

児童(満10歳男女)の学校でのはだし生活が校内生活中の運動量,特に中間休みや昼休み時間の運動量,及び遊び場所の選択にどのような影響を及ぼしているかという問題に着目し,万歩計と携帯心電図記録計を用いて学校の中での児童の運動量と運動強度を記録するとともに,遊び場所調査を行って,これらをはだし非実施校のものと比較した。男子は対象児に比べて(1)体格・背筋力に差がなく,(2)校内生活における総運動量,休憩時間中の運動量や運動強度にも差がないが,(3)昼休み時間に屋外で遊ぶ児童が少ないことが認められた。女子は対象児に比べて(4)体格に差がなく,背筋力が強いこと,(5)校内生活における総運動量に差がないこと,(6)休憩時間中に屋外で遊ぶ児童の頻度には差がないが,運動量が少ないことが認められた。The children of Kyoto Primary Laboratory School have spent their school hours and recess with bare feet during a period from May to October every year. They (BFL-group, boys and girls aged 10 year-old) were subjected to study the effect of the barefoot life on the quality of daily physieal activity, a pedometer and heart monitoring system being used. There was no significant difference between the BFL-group and the control in the body dimensions.The amounts of physical activity during periods of the recess between the class 2 and 3 and the noon recess were found to decrease in the BFL-girls. The total amounts of physical activity during a period from the class 1 to the end of class 6 in the BFL-boys and -girls, however, were found not to differ from the controls respectively.