著者
寺田 知世 三雲 真理子
出版者
日本認知心理学会
雑誌
日本認知心理学会発表論文集
巻号頁・発行日
vol.2016, 2016

音楽には聴取者に良いイメージを喚起させ、自信を持たせる力、自己効力感を向上させる力をもつと考えられるが、これまで調査された音楽は器楽曲が中心である。本研究では、歌詞のある音楽2曲に歌聴取条件とメロディ聴取条件を設け(計4条件)、音楽聴取後の気分および人格特性的自己効力感への影響、歌詞への共感とメロディの印象の差異を検討した。その結果、歌詞に物語性があり、メロディの変化が多い音楽からは、前向きな情動変化や高揚感が得られやすく、メロディから快活で力強い印象を感じやすいことが分かった。一方、歌詞に聴取者を安心させ、落ち着かせる言葉を多く含み、メロディの変化が少ない音楽からは、気分の鎮静化が促され、メロディから陰気で軽い印象を感じやすいことが分かった。さらに、人格特性的自己効力感の得点も高い傾向にあることが分かった。また、4条件で歌詞への共感に有意差は見られなかった。