- 著者
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小俣 翔子
川上 陽子
下鳥 春奈
北林 紘
山崎 貴子
岩森 大
伊藤 直子
- 出版者
- 日本調理科学会
- 雑誌
- 日本調理科学会大会研究発表要旨集 平成27年度大会(一社)日本調理科学会
- 巻号頁・発行日
- pp.55, 2015 (Released:2015-08-24)
【目的】加工食品には食品添加物として、無機リン化合物が使用されていることが多く、これらは有機リン化合物に比べ、消化吸収率がよいことが知られている。患者にとって、リンの過剰摂取は高リン血症を惹起するため、食品添加物の含有に留意する必要があるが、原材料表示からはリン含有の有無はわかりにくい。我々は、食パンの総リン量、水溶性リン(無機リンの含有が高い)及び不溶性リン(有機リンの含有が高い)量を調べた。【方法】 市販食パン及び透析患者用のタンパク質調整食パンを破砕後、水で懸濁し、遠心分離して水溶性画分と不溶性画分に分離した。これらの画分と無処理の食パンをそれぞれ灰化し、バナドモリブデン酸吸光光度法にてリン量を測定した。その後リンを用いている可能性の高い食品添加物(イーストフード・乳化剤)の有無でリン量を比較した。【結果】タンパク質調整食パンの総リン量と水溶性リン量は、市販食パンの平均に比べるとそれぞれ約54%、31%であった。市販食パンにおいて食品添加物の有無で総リン量を比較すると、有意差はみられなかったが、可溶性リン量は食品添加物含有食パンのほうが有意に多かった。また、可溶性リン、不溶性リンの推定吸収率をそれぞれ90%、50%として試算すると、食品添加物が添加されている食パンのほうが有意に多かった。【考察】市販食パンにおいてリン量には有意差はなかったものの、食品添加物としてイーストフード、乳化剤を含有している食パンでは推定吸収率が高いことが示唆され、腎臓病患者はこれらの含有には注意する必要があると考えられる。しかしパッケージには、いずれもリンの記載はなく、リン含有のわかる記載が望まれる。