著者
小原 守雄
出版者
崇城大学
雑誌
崇城大学研究報告 (ISSN:21857903)
巻号頁・発行日
vol.31, no.1, pp.11-18, 2006-03

本研究は、大学における心理学受講生に対して簡易瞑想法による受動的注意集中訓練を継続的に実施することによって、「集中力を高めること」および「授業への積極的な構えを形成すること」における効果を検討することを目的にして行われた。簡易瞑想法による訓練は、309人の受講生(6クラス)を対象として、週1回(授業開始前の5分間)、計14回実施された。各セッションにおいて、簡易瞑想法実施の効果などを含む質問紙調査およびフィードバック票への記入を求めた。完全回答の得られた276人の資料を分析した結果、当初期待していた「集中力を高めること」および「授業への積極的構えの形成」の効果の他に、「心身のリラックス」および「自己の心身についての気づき」などにおいても肯定的な効果が得られた。また、簡易瞑想法を授業以外においても活用している対象者が50%認められた。以上の結果から大学における授業を活用した簡易瞑想法の適用が、授業に対する受講態度の改善のみならず、心身の健康を増進するため、さらには予防的心理教育の位置づけとしても重要な意義があることが示唆された。