著者
岡崎 進 小又 基彰
出版者
公益社団法人 日本化学会
雑誌
日本化学会誌 (ISSN:03694577)
巻号頁・発行日
vol.1972, no.9, pp.1615-1621, 1972-09-10 (Released:2011-05-30)
参考文献数
11
被引用文献数
3

金属フッ化物の脱ハロゲン化水素反応に対する触媒活性を比較検討する目的で,CH3CF3の気相連続接触脱フッ化水素反応を行なった。初めに対比として無触媒反応を行なったところ,反応は750℃以上の高温で初めて進行し,一次反応となり,その速度定数はk=1.63 × 1010 exp (-53800/RT)となった。試みた十数種の金属フッ化物中,アルミニウム,鉄,マグネシウムのフッ化物が活性を示し,これらを用いると530℃程度の低温でも十分に反応が進行するようになる。これら活性金属フッ化物はいずれも固体酸性を呈し,不活性金属フッ化物が固体酸性を示さなかったことと対照的である。なお,触媒寿命を考慮する場合,塩基性フッ化アルミニウムはさらに有効な触媒であり,これによる接触反応を解析した結果,その反応は表面反応律速で,活性化エネルギーは28.3kcal/molになった。また吸着熱は12.9kcal/molと算出された。