著者
小向 敦子
出版者
日本笑い学会
雑誌
笑い学研究
巻号頁・発行日
no.19, pp.97-108, 2012-07-21

「ぽっくり死」や「ぴんぴんころり」は、シニア層を中心に用いられている造語である。同時に彼らにとっては、標語ともなっているようで、近年ぽっくり寺参りが流行し、ピンコロ商品が売り上げを伸ばしている。しかし百寿者が4万人を超える世界第1位の長寿王国である日本で、それこそ百年も長く生きた後に、ぽっくり・ころりと死ぬことが本当に本望なのだろうか。この方向を目指すことが、本当に正解なのだろうか。平均寿命が短い他国で天逝する人であれば、死にたくないのに死ぬのが精いっぱいで、仕方ない。だが「石の上」という名の「老年期」にも30年鎮座し、老いがいを享受した熟練シニアの死は、彼らと一緒にされるべきではない。では一体何がなされるべきなのか。世界王者の宿命でもあろうが、模倣することができるモデルのいない私たちに、手を差し伸べてくれたのは、やはりユーモアであった。ユーモアが逝き方の質を変える、その可能性を模索する。
著者
小向 敦子
出版者
日本笑い学会
雑誌
笑い学研究 (ISSN:21894132)
巻号頁・発行日
vol.22, pp.103-115, 2015-08-01 (Released:2017-07-21)

「16歳未満者(の鑑賞)は制限されるべき」という意味で、映画のタイトルの横などに“R-16”(restricted under 16)と、表記されているのをご覧になったことがあるだろう。「未満」があるなら「以上」もあるのか。あるいは英語の16(six-teen)と60(sixty)は発音が似ていることから、R-60(還暦未満お断り)もありそうだが、その場合は、どのような内容を指すのだろう、と近頃考えていた。しかしこうして、要旨の文字の半数近くを、今回“R-65(シニア未満お断り)のユーモア”を取り上げた経緯を説明するためだけに、費やしてしまった。このまま終わっては「要旨」の覧に、いやらしく「告知」をしたことにもなりかねない。そうならないために、どうか皆様には、この続きを読み進めて頂きたい。本編では、シニアに特有の笑い(従来の定番)として、容姿・病症・物忘れ。笑うに笑えない笑い(危険ユーモア)として、駄洒落・下ネタ・皮肉。そして注目すべき上昇株として、言い間違い・聞き間違い・書き間違いの笑いについて、紹介しつつ探究している。
著者
小向 敦子
出版者
日本笑い学会
雑誌
笑い学研究
巻号頁・発行日
no.22, pp.103-115, 2015-08-01

「16歳未満者(の鑑賞)は制限されるべき」という意味で、映画のタイトルの横などに"R-16"(restricted under 16)と、表記されているのをご覧になったことがあるだろう。「未満」があるなら「以上」もあるのか。あるいは英語の16(six-teen)と60(sixty)は発音が似ていることから、R-60(還暦未満お断り)もありそうだが、その場合は、どのような内容を指すのだろう、と近頃考えていた。しかしこうして、要旨の文字の半数近くを、今回"R-65(シニア未満お断り)のユーモア"を取り上げた経緯を説明するためだけに、費やしてしまった。このまま終わっては「要旨」の覧に、いやらしく「告知」をしたことにもなりかねない。そうならないために、どうか皆様には、この続きを読み進めて頂きたい。本編では、シニアに特有の笑い(従来の定番)として、容姿・病症・物忘れ。笑うに笑えない笑い(危険ユーモア)として、駄洒落・下ネタ・皮肉。そして注目すべき上昇株として、言い間違い・聞き間違い・書き間違いの笑いについて、紹介しつつ探究している。