- 著者
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川口 輝久
久保 正則
秋山 仁
小富 正昭
- 出版者
- The Japanese Society for the Study of Xenobiotics
- 雑誌
- 薬物動態 (ISSN:09161139)
- 巻号頁・発行日
- vol.9, no.5, pp.661-674, 1994 (Released:2007-03-29)
- 参考文献数
- 8
- 被引用文献数
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1
14C-BOF-A2(3-[3-(6-benzoyloxy-3-cyano-2-pyridyloxycarbonyl)benzoyl]-1-ethoxyme-thyl-5-fluorouracil)をラットに単回および反復経口投与後の放射能,主代謝産物である1-ethoxy-methy1-5-fluorouracil(EM-FU),3-cyano-2,6-di-hydroxypyridine(CNDP),5-fluorouracil(5-FU)の吸収,分布,代謝および排泄について検討した. 1.絶食あるいは非絶食下に雄性ラットに単回経口投与後,血液中放射能濃度は絶食下投与の方が高い推移を示した. 2.雌雄ラットに単回経口投与後の血液中放射能濃度推移には顕著な性差は認められなかった. 3.雄性ラットに反復経口投与後7および14日目の血液中放射能のCmaxは,投与初日の各々,1.8,2.2倍に増加し,AUC0-24hrもほぼ同様の割合で増加した. 4.雌雄ラットに単回経口投与後,総放射能濃度のAUC0-24hr に対する5-FUあるいはEM-FUのAUC0-24hrの割合は,5-FU(雄 : 7%,雌 :5 %)で,EM-FU(雄 : 63%,雌 : 78%)であった.5.雌雄ラットに単回経口投与後2~8時間に,胃,小腸以外では,肝臓,腎臓,副腎,骨髄において血漿中よりも高い放射能濃度を示した.投与後12時間以降の放射能の消失は多くの組織において血漿中に比較して緩慢で残留する傾向が認められた. 6.雄性ラットに反復経口投与14日目の投与24時間以降の放射能の消失は多くの組織において緩慢であり,残留傾向が認められた.7。雄性ラットに非絶食下単回投与後7日目までに尿中へ47.1%,糞中へ41.1%,呼気中へ8.6%の放射能が排泄され,死体残存率は1.2%であった.尿,糞および呼気へ排泄された放射能のほとんどが投与後48時間までに排泄された.また,絶食下単回投与後48時間までの放射能の排泄率は,尿64.9%,糞13.1%,呼気11.8%で,非絶食下投与群との間に差が認められた.8.雄性ラットに14日間反復経口投与期間中の毎回投与後24時間ごとの放射能の排泄率は,尿が約40%,糞が約35~55%,呼気が約10%で,反復投与による変化はなかった. 9.絶食あるいは非絶食下に雄性ラットに単回経口投与後24時間までに尿中へ排泄された総放射能に対するEM-FUの割合は,絶食下13%,非絶食下56%で,5-FUの割合は,絶食下24%,非絶食下9%であった. 10.雄性ラットに非絶食下単回投与後48時間までの放射能の胆汁中への排泄率は4.5%で,そのうち約50%がEM-FUであった. 11.in vitroでの血漿蛋白との結合率は,EM-FUは,ラット34~46%,イヌ47~51%,ヒト27~38%,5-FUは,ラット14~21%,イヌ16~17%,ヒト14~17%,CNDPは,ラット53~58%,イヌ63~71%,ヒト67~69%であった.ラットに14C-BOF-A2を単回経口投与後4,24時間における放射能の血漿蛋白との結合率は各々,39,93%であった.