著者
小寺 真実 針谷 萌那 森 太郎 原 知子 久保 加織
出版者
一般社団法人 日本家政学会
雑誌
一般社団法人日本家政学会研究発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.67, 2015

<b>目的</b> 「近江の伝統野菜」14品目に含まれる杉谷なすび、下田なすの物理的特性を賀茂なす、千両二号と比較し、伝統野菜の普及の一助となる情報を収集した。<br><b>方法</b> 滋賀大学内農場で栽培した杉谷なすび、下田なす、賀茂なす、および千両二号の果実を供試した。赤道を中心とした幅2cmの輪切りなすを200℃で30分間加熱したものを焼きなすとした。クリープメーター(山電)により直径1.5mmの円柱状プランジャーを速度0.5mm/sで圧縮・貫入させて物性を測定した。色調は測色色差計(日本電色工業株式会社)を用いて測定した。官能評価は、滋賀大学の学生および教職員44名を対象に5点評点法により行った。<br><b>結果</b> 破断荷重値より、生なすの果皮は、賀茂なす、杉谷なすび、千両二号、下田なすの順に、果肉は、杉谷なすび、賀茂なす、下田なす、千両二号の順に硬いことが明らかになった。官能評価でも、生の下田なすが他品種に比べ柔らかいと判断された。焼きなすにすると、果皮は柔らかくなったが、杉谷なすびは他品種に比べ、あまり柔らかくなることはなく生の硬さに近かったが、もろさ荷重値は大きかったことから、噛み切りやすさがあると考えられた。杉谷なすびの果皮はL*値a*値b*値ともに他品種より低く、緑がかった深い紫色であった。果肉の色調では品種間に大きな差はなかった。焼きなすにすると、果皮のL*値a*値b*値は高くなった。果肉はa*値が高くなったが、品種間で色調が異なった。