著者
野口 良造 小山 瑞樹
出版者
農業情報学会
雑誌
農業情報研究 (ISSN:09169482)
巻号頁・発行日
vol.18, no.3, pp.142-151, 2009 (Released:2009-10-01)
参考文献数
29
被引用文献数
1 1

地域社会を対象にした,バイオマスエネルギーによる自動車用エネルギー代替の可能性を明らかにするために,複数のバイオマスやエネルギーを取り扱い,システムダイナミックスのプログラムへ応用可能な,エネルギーフローモデルを提案した.つぎに,栃木県を対象として,耕作放棄地を利用したバイオマス生産とEV(電気自動車)の普及を前提に,6つのシナリオを設定し,システムダイナミックスを用いたシミュレーションを行った.その結果,EVの普及率:5% / 年,EVとGV (ガソリン自動車)の燃費性能の向上:2.9% / 年,耕作放棄地の拡大:4.2% / 年,飼料米ふくひびきの生産によって,27年後に自動車用エネルギーを自給できる可能性を明らかにした.また,EVの燃費性能の向上,および新車販売台数のなかでEVの占める割合の増加が,栃木県での自動車用エネルギー自給の可能性に大きく影響を与えることが明らかとなった.