- 著者
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芳賀 文子
小峰 洋美
近藤 栄昭
鍬野 信子
- 出版者
- The Japanese Society of Nutrition and Dietetics
- 雑誌
- 栄養学雑誌 (ISSN:00215147)
- 巻号頁・発行日
- vol.42, no.4, pp.225-234, 1984 (Released:2010-04-30)
- 参考文献数
- 11
- 被引用文献数
-
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3
酒石酸カリウム, クエン酸二カリウム, 塩化カリウムを添加した大根煮, ホワイトソースの調理食品, ならびにホワイトソースと同調味濃度の調味水溶液に対し, 官能テストを行い, K塩の調味効果について検討を試み, 次のような結果を得た。1) 試料に用いたK塩の味覚の特徴は, 酒石酸カリウムは塩辛味, 酸味, 苦味, 渋味いずれも弱く, クエン酸二カリウムは酸味が強く, 塩化カリウムは苦味が特に強かった。2) K塩を調味料として添加した大根煮では, K塩の味覚の特徴がストレートに感じられ, 全ての試料に有意の差がみられた。調味水溶液でも同様の傾向であった。しかし, ホワイトソースでは, 有意の差はなく, これらK塩の味の発現が抑制された。3) Kを必要とする患者に対し, 食事による補給の方法として, K塩を調理食品に添加する場合, 芳香性の食品, 油脂類, たん白質性食品を使用し, 不快味に対するマスク作用をはかったり, 呈味性の弱いK塩を用いたほうがよいように思われた。4) 塩化カリウムは, 塩辛味はあるが, 苦味が強く, 酒石酸カリウム, クエン酸二カリウムは塩辛味は弱く, 実験に供したK塩の食塩代替性は乏しかった。