- 著者
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湯原 悦子
小島 佳子
高柳 雅仁
Etsuko Yuhara
Keiko Kojima
Masahito Takayanagi
- 出版者
- 日本福祉大学社会福祉学部
- 雑誌
- 日本福祉大学社会福祉論集 (ISSN:1345174X)
- 巻号頁・発行日
- no.133, pp.29-45, 2015-09
本研究の目的は,法人後見を行う団体の受任事例の分析を行い,地域における権利擁護支援ニーズの内容と支援の効果について確認することである.分析の結果,権利擁護支援が必要となる背景には金銭管理をはじめとする生活管理能力の不足があり,そこに近隣からの不安や苦情,深刻なネグレクト,あるいは親族やそれ以外の人からの経済的搾取や虐待の被害に遭うことで,それまでの生活の継続が困難になっていく状況が確認できた.支援の効果については,成年後見人らが地域の人々と被後見人らの間に入り,関係を調整することで近隣住民の理解が進み,「地域の困り者」だった被後見人らが地域で受け入れられ,見守られる存在へと変わっていく姿が確認できた.また,被後見人らが自分への自信を深め,思いを口にし,自分なりの人生を生きようと動き出し始める状況が見出された.