- 著者
-
小島 德子
- 出版者
- 一般社団法人 日本助産学会
- 雑誌
- 日本助産学会誌 (ISSN:09176357)
- 巻号頁・発行日
- vol.33, no.1, pp.92-102, 2019 (Released:2019-06-30)
- 参考文献数
- 31
目 的産褥早期に直接授乳をしている褥婦への足湯を継続して行い,乳頭形態と乳頭・乳輪の状態に及ぼす影響を定性的に評価し検討する。対象と方法対象は,産褥早期に直接授乳をする褥婦25名で,無作為割り付けによる足湯群14名とコントロール群11名の2群間比較を行った。評価指標は,ピンチテストによる乳頭形態の判別と触診による乳頭・乳輪の状態とした。本研究は,愛知医科大学看護学部倫理委員会の承認を得て実施した。結 果仮性陥没乳頭が正常乳頭に変化した日(中央値(範囲))は,足湯群2.0(2~3)日(n=5),コントロール群4.5(4~5)日(n=4)であり(p<.05),扁平乳頭が正常乳頭に変化した日は,足湯群2.0(2~3)日(n=6),コントロール群4.0(3~4)日(n=5)であった(p<.05)。乳頭「硬」が「軟」に変化した日は,足湯群2.0(2~3)日(n=8),コントロール群4.5(3~5)日(n=6)であり(p<.01),乳輪「硬」が「軟」に変化した日は,足湯群3.0(2~4)日(n=3),コントロール群4.0(4~4)日(n=1)であった。乳輪浮腫の状態が消失した日は,足湯群3.0(3~3)日(n=2),コントロール群4.5(4~5)日(n=2)であった。乳頭形態・乳輪の状態が「問題なし」(n=5),乳頭「軟」(n=11),乳輪「軟」(n=21)の各該当者は,両群ともに産褥5日間その乳頭形態及び乳頭・乳輪の状態に変化はなかった。結 論産褥早期の褥婦への足湯により,仮性陥没乳頭・扁平乳頭は正常乳頭に,乳頭・乳輪は柔らかい状態へとコントロール群よりも早期に変化し,乳輪浮腫は早期に消失した。このことから,産褥早期の足湯は,褥婦の乳頭形態と乳頭・乳輪の状態に良い影響を及ぼすことが示唆された。