著者
栗栖 悠貴 小島 脩平 稲澤 容代
出版者
公益社団法人 日本地理学会
雑誌
日本地理学会発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.2016, 2016

近年、地理院地図に代表されるように地理空間情報技術のめざましい発達により、誰でも容易に地理空間情報を扱えるようになった。その結果、災害対応をはじめ様々な分野で地理空間情報は効果的に活用されている。しかし、平成26年8月豪雨や平成27年9月関東・東北豪雨に伴う被害状況を振り返ると、事前に土砂災害危険箇所や浸水想定区域などの自然災害リスクに関する地理空間情報が被災地で十分浸透していたとは言い難い。その原因の1つにそれらの情報からリスク情報を解読する難しさがある。自然災害リスクに関する地理空間情報を分かりやすく伝えることは、被害軽減対策の1つとして重要である。<br>本報告は、災害時の被害軽減対策を促すために重要な自然災害リスクに関する地理空間情報を分かりやすく伝えるための工夫を紹介するものである。効果的に伝える工夫として次の方法がある。<br>①土地の成り立ちと自然災害リスクの関係をワンクリックで確認できる地形分類データ。<br>②身近な自然災害リスクを伝えるハザードマップポータルサイト。<br>③浸水被害範囲の時系列変化がわかる地点別浸水シミュレーション検索システム。<br>しかし、これらはツールであり利用されなければ被害軽減にはつながらない。<br>そのため、今後有用なツールを活用してもらうような広報活動をしていくことが必要である。